農業協同組合新聞 JACOM
   
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提携で新たな仕事を創り地域の活性化に
惜しくも22年の歴史に協同組合間事業提携事例発表会を開催
−農水省 (9/22)


挨拶する高橋局長
挨拶する高橋局長

 「農業協同組合・森林組合・漁業協同組合間における事業提携事例発表会」が9月22日、農水省共用会議室(飯野ビル8階)で開催された。『食料・農業・農村基本計画』等において検討課題とされている各組合間の事業提携について、先進事例を紹介し今後の提携促進の一助にしようとするもので、初めての開催となった。
 高橋博経営局長は、「農林水産業はさまざまな課題を抱えている中、それぞれの柱となる『基本計画』が改定期を迎えた。これまでの事業は個別に展開する傾向が強かったが、農林水産業間の連携は“食”または“農山漁村”の範囲に留まらず、今後の日本の在り方にも大きな影響を与える可能性を秘めている。主役である生産者同士が、地域の中でいかなる連携をはかって行けるか、先達に学ぼう」と、事例発表会開催の意義を強調した。
 発表事例は、北海道常呂町(現北見市)、静岡県由比町、宮崎県南那珂地域の3例。北海道常呂町では、ホタテ貝殻を土壌改良剤として有効利用することでJAと漁協が協力、また、給油所を両者が共同で経営しており、石油類の安定供給に努めている。静岡県由比町は、漁協経営で特産の桜えびを活かした料理店舗の「浜のかきあげや」とJAするが路の直売所との連携。宮崎県南那珂地域では、志布志湾の漁獲量が減少している中、漁協と森林組合が一緒になって「漁民の森」づくりを進めると同時に、JA串間市大束と漁協との間で、甘藷の連作障害を防止する環境資材「あかみず」の製造、販売に取り組んでいる。
 報告者からは、「事業連携でそれぞれの組合が行っている事業内容を理解することができた。職員同士の交流が大切」、「組合間の調整を行政が行うという仕組みが、事をスムーズに進める秘訣」、「農林水産物を売ると同時に食を提供するなど、別の角度から商品の価値をPRするような工夫が必要」などの発言があり、事業連携で得た経験を披露した。
 コーディネーター役の根岸久子氏(JA総合研究所客員研究員)は、「組合間に留まらず、生産法人や消費者団体などを含めたできるだけ幅広い相手との連携を考えるべき。また、提携により新たな仕事を創りだし、地域の活性化に寄与することができるかが成功のポイントだ」と、組合間の事業提携を核に地域の在り方を考えて行こうと訴えた。
 農水省は現在、全国の組合間事業提携の事例を集めており、年度末をメドに『事例集』公表を考えている。

(2006.9.26)



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