農業協同組合新聞 JACOM
   
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第24回JA全国大会主要分科会レポート
担い手に対する事業展開(経済事業を中心に) −第2分科会
行動することでゼロが1になる


◆組織的対応から個別対応へ

 農畜産物流通が、ニーズの多様化のなかで、従来の一律的な市場流通から多様な販売チャンネルが構築され、JA以外の販売チャンネルで販売する生産者が増えてきていること。販売農家の20%の農家で販売全体の80%を占めており、この傾向は今後さらに加速すると想定されること。などから、従来の流通チャンネルに収まらない農家や規模の大きな農家に対するJAグループの経済事業の事業対応(推進)は、従来の組織的対応から個別対応が必要であるとされている。
 そのために、地域の担い手の実態を踏まえて、個別事業対応をする担い手を明確にし、その担い手に対して個別事業対応を実施する体制、仕組みの構築に取り組んでいる。その中心的なテーマは「担い手に出向く営農・経済体制の確立」と担い手向け商品の企画・提供」だとされている。
 すでに40県域で「担い手対応県域マスタープラン」が策定され、全農の17県本部で132名の担い手対応専任者が設置され活動をしており、18年度中には全県本部に専任対応部署を設置し150名の専任対応者体制を構築することにしている。
 第2分科会は、こうした取組みの先進的な事例を紹介するとともに、担い手である生産者の「JAに対する期待」が報告された。
 「JAに対する期待」は、全青協(全国農協青年組織協議会)会長でJA富山県青壮年組織協議会参与の矢木龍一氏と全青協副会長で宮崎県農協青年部組織協議会委員長の坂元芳郎氏が報告した。

◆「しばり」から「結び」の関係へ

 水稲40ha、大豆55ha、ハウスねぎ11棟などを経営する有限会社の社長でもある矢木氏は、JAは「買ってもらうのが当たり前」とか全量取引主義から「脱却する必要がある」。全量利用してもらえなくても「0%利用を40%に引き上げる努力をすることが大事」。「非農協利用者を敵の如くレッテルをはる傾向が見られるが、来年度からの新法を糧に、いままで取引きの薄い農家を取り入れる努力が必要ではないか」。そのためには「農産物の価値を高めてより良く売ることが大事」だと「しばりの関係から結びの関係へ」担い手との関係を変えるべきと語った。
 そして、人と人との関係を深めることが、JAとの信頼関係を築くことになると出向く体制の重要性を語るとともに、「将来の農業・農村を支えるのは、青年であり、その後継者に目を向けるとともに、農協の若手職員も含めて組織化し、後継者としての学習と実践をはかることこそが地域農協のつとめではないか」「青年部を組織化していないということは、将来の農協経営によほど自信があるのか、まったく先のことは考えていないということに思える」と結んだ。

◆青年部が変わればJAも変わる

 施設きゅうり100aなどを経営する坂元氏は、重油価格の高騰によって、この4年間で約300万円も重油経費が増加したこと。そのための省エネ対策や低コスト対策、単位面積当たり収量のアップによる所得確保対策など自らの農業経営について語ったあと、「生産者の利益向上のためになる経済事業改革をしっかりやって欲しい」とJAへの期待を語った。その経済事業改革でとくに重要なことは「JAの営農指導と販売力の強化」だと強調した。
 また、「青年部が変わればJAも変わる」のだから、青年部の育成をしっかりやって欲しいと結んだ。

◆訪問回数を増やすことで信頼関係が

 JA兵庫西の上野純市営農生活部指導販売課係長は、全農兵庫県本部から「担い手対応モデルJA」にならないかという提案を受け、15年4月に、3名のベテラン営農指導員を「担い手担当」として配置。翌年に1名増員し、「合併農協に対するニーズのくみあげを目標」に活動。今年4月には「第2次JA兵庫西 営農ビジョン」を策定し、「JA担い手専門職員」14名を配置し、担い手対応を強化してきたと経過を報告。
 担い手担当者の業務の目的は「担い手に対して恒常的な戸別訪問を行うことで、多様化する個々の要望や意見を聞き、それにきめ細かな対応をすることで信頼関係を構築し、JA営農経済事業の基盤強化と活性化をはかる」ことで、訪問にあたっては全農兵庫県本部の担い手担当者との同行訪問を基本としている。
 訪問活動を通じて「共通する思いがつかめてきたので」、「規模拡大しても販売先のない農地に何を作ってもらう」のかと考え、新規作物の提案を行い、「興味があるときは栽培暦などを提供」し、JAとの契約栽培を推進している。17年度には、水稲約27ha、大豆約30ha、小麦約125ha、野菜4haが新たにJA契約栽培となり販売と購買の利用額がアップしたと報告した。
 こうしたことを踏まえて上野氏は「定期的な訪問体制をつくり、訪問回数を増やすことが大事」だと強調。と同時に「実績はすぐにはあがらないので、JA経営者は、長期的な視野に立って」担い手対応を考えて欲しいと語った。

◆JA担当者と同行訪問する県専任担当者

 JA兵庫中央会と全農兵庫県本部の共通機構であるJA兵庫アグリ対策部の玉田和浩係長は、13年に県下大規模農家訪問調査を実施し「多くの農家が将来に対して何らかの不安を抱えており、相談機能としてのJAに強い期待感をもっている」ことが分かり、「大規模農家との“対話の場”をもつことが重要である」と14年4月に全農県本部に営農対策室・担い手担当2名を設置。その年の8月に前記JA兵庫西、15年9月にJA丹波ひかみをモデルJAとし、地域農業の中核的担い手として育成・支援する必要のある農家を営農類型別・地域別に明確にし、JAの担い手担当者と同行して訪問。
 その訪問回数は、15年5月〜17年3月までに延べ1480戸で実際に面談できたのは898回だった。訪問するときには、「グリーンレポート」の無償提供やJAグループ・行政作成パンフなどの農業情報など、農家へさまざまな情報提供を行うが、上野氏は「全国的な優良事例よりも、地元や近隣の情報を提供することが大事」だと語った。
 最後に上野氏はJA担当者と一体となった取組みの経験から「行動することでゼロが1になり、2になる」と、まず行動することの重要性を強調した。(「第3分科会」のレポートはこちらへ

(2006.10.24)



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