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中央会監査の意義を初めて位置づけ
−18年度JA研究賞の多木氏 (11/16)


18年度JA研究賞の多木氏
宮田会長は「きちんとした体制のなかでJAも健全な経営を徹底していかなければならない。今後もJAグループに役立つ研究成果を期待します」と多木氏に話していた。

 JAや協同組合運動に関する優れた著書・論文をJA全中が表彰する「JA研究賞」の表彰式が11月16日に行われ、18年度受賞者の多木誠一郎・小樽商科大助教授に宮田会長から表彰状と副賞が贈られた(写真)。
 受賞作『協同組合における外部監査の研究』(全国協同出版、05年)で多木氏は農協中央会監査を取り上げ、ドイツの中央会監査制度と比較しながら、その意義と課題を初めて考察した。
 中央会監査は、産業組合時代から実施され、現在でも協同組合の特質に配慮した「自治監査」として多木氏は評価。会計だけでなく、組織・運営にまたがる広範な監査を他の指導・助言事業と連携しながら行うことができる点に意義があるとしている。
 こうした特質を考えると、外部監査を行政庁に委ねる方法もあるがそれは自治の観点から疑義があり、一方、公認会計士では会計以外の組織・運営に関する監督まで委ねることはできないと指摘。中央会による会計以外も含めた全面監査は農協内部の監査では埋め合わせられない「監督のエア・ポケット」を埋めることができ、中央会事業の連携にとっても相関関係が期待できるとする。

◆全面監査に重点を

 もっともこうした捉え方に対して監査の独立性が問われることも考えれるが、一方、公認会計士監査であっても被監査対象の顧客から報酬を受け取っている以上、そもそも完全な独立性の確保は難しいことをふまえて考察しなければならないと指摘している。
 また、今後は中央会監査の存在意義である全面監査に重点をおくべきと提言。ドイツでは全面監査を強制監査とする法制度となっており、理事会や総代会で求めに応じて監査サイドから改善点などを助言しているという。この仕組みを導入すれば、改善点のフォローアップが充実し、協同組合の健全な発展につながるのではないかと話した。多木氏は昭和44年生まれ。東北大卒後、全中入会、平成7年に退職。15年に小樽商大助教授に就任。

(2006.11.17)



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