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34万トンを政府買い入れ −米の緊急対策決まる (10/29)


 農水省は10月29日、農政改革3対策緊急検討本部会合を開き、26日に自民党農業基本政策小委員会が決めた政府備蓄米の積み増しなどを柱とした米緊急対策を決めた。
 対策では備蓄水準を適正水準である100万トンまで積み増す。政府の備蓄は6月末時点では77万トンだったが、10月までに約10万トン売却が進み、今後、11月にも1万トン売却される予定であることから、備蓄水準は66万トン程度になる見込み。緊急対策では34万トンを年内に買い入れ100万トンとする。買い入れは現行と同様の市場価格を標準にした入札方式で行う。
 買い入れた後、市場への放出は原則として行わず、来年6月末時点での100万トンを維持する。
 自民党の米緊急対策の検討では、19年産の需要オーバー分23万トンと18年産の販売残分約11万トンを緊急に市場隔離することを求めていた。 ただ、10月15日現在の予想収穫量は主食用が854万トンと見込まれ、需要量833万トンとの差は21万トンとなっている。
 このほか緊急対策としてJA全農が18年産うるち米の販売残10万トン相当量を飼料用として処理する。政府は半額を助成することを決めて予算額は50億円程度としている。この対策は必ずしも18年産米を飼料用にするわけではなく全農は具体策を今後検討する。
 政府備蓄の積み増しと全農による米の飼料化で合計44万トンが主食用市場から隔離されることになる。

◆20年産は「面積」も提示

 20年産の生産調整については、実効性確保の観点から行政の関与を強め「全都道府県・全地域で目標を達成できるよう全力をあげる」としている。
 具体的には生産調整目標は、主食用販売数量と作付面積(数量の面積換算値)の二本立てで示す。コメ政策改革で生産調整は数量配分とされ、市町村段階で面積換算されて生産調整参加者に提示されていたが、20年産では国も都道府県も目標面積を示す。
 また、都道府県間で調整するスキームもつくる。このスキームでは面積ではなく数量による調整を行うことになる見込みだ。
 また、生産調整目標の配分、作付け、収穫など各段階で生産調整の取り組み状況を把握し、適切に生産調整が行われるよう行政機関が強力に指導する。
 そのほか、非実施者に対しても生産調整を強力に要請すると同時に、生産調整目標を達成しなかった都道府県・地域に対して産地づくり対策の支援を調整したり、その他の補助金などの採択や配分についても考慮するペナルティ的な措置を講じる方針も打ち出した。
 生産調整の手法についても検討し、飼料、米粉、輸出、バイオエタノール用など非主食用の米は、主食用への横流れ防止を条件に、生産調整にカウントする仕組みを構築する。
 また、19年産のように作況が99であるにも関わらず、過剰作付けによって需要オーバーとなった場合に、生産者団体が主体的に需要を超える分を確実に非主食用として処理する「出口対策」も構築するとしている。
 今回の緊急対策では、今後の生産調整についてJAグループに対しても責任を持って生産調整の実効性をあげる体制を整えJA・組合員を強力に指導することを求めている。
 なかでも全農に対しては産地間の過度な安売競争を回避する指導や、消費者、量販店、外食産業などへの直接販売の拡大、播種前契約・収穫前契約の拡大も求めている。
 また、20年産の仮渡金についても適切な対処を求めた。

(2007.10.31)

 

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