農業協同組合新聞 JACOM
   
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「ほぼ合格点」と農水省が評価
子会社再編、計画の水準が見通せる状況に
JA全農「改善計画」の進捗状況報告 (1/19)


 JA全農の裄V会長は1月19日に山本農水省副大臣に「業務改善計画」の進捗状況報告を提出した。今回で5回目となるこの報告は、この1年間の取組み過程をふまえ、これまでの進捗状況をとりまとめた内容となっている。この報告によるこの1年間の取組みの到達点と今後の課題は概ね次の通りとなっている。
担い手対応強化
 18年度から対策を前倒しで実施(肥料の満車直行等の受渡条件と価格提示、農薬大型規格商品の拡大と価格提示など)。担い手対応専任者を全県本部で142名配置(18年度末までに150名)や担い手対応支援システムの開発・導入など、今後の担い手対応強化のインフラ整備を進めた。
 今後の課題としては、価格対策の前倒し実施が担い手に確実に認識されることを検証するために、全国のJAを対象に毎年調査を実施することや「支援システム」の導入推進を通じた担い手登録の計画的な拡大などをあげた。
生産者・組合員の手取り最大化
 計画通りに生産資材手数料18億円分の引下げによる価格引下げを実施。米流通コスト削減では600円/60kg程度の販売対策費を廃止するとともに、県別に18年産米の共同計算経費上限目標値を公表し、流通コスト削減の道筋を具体的に示したことなどがある。
 今後の課題としては、米流通コストの「20年産までに2000円/60kg以内」実現に向けた継続的削減の実施などをあげた。
組織のスリム化
 要員削減では全農本体はこの1年間で467名を削減、今後も19年度から実施する中期要員計画(次期3か年計画)にもとづき計画的な削減を実行していく。子会社については、この1年間で354名を削減したが、子会社再編方針の確認などをふまえた要員削減具体策を19年3月までに策定し、これにもとづいて計画的な削減を実施していく。
 17年10月に203社あった子会社の再編については、18年12月時点で178社と25社が再編されているが、21年3月までにさらに56社を再編し122社へ。さらに21年度中に10社の再編が見込まれており、20年度末に98〜117社という計画水準が概ね見通せる状況となっている。
 また、当初から大きな課題となっていた物流子会社の1社化(17年10月時点17社)については、21年3月時点で13社を再編し4社となる見込みとなっている。今後は、全国域1社化である全農グループトータル物流会社組成に向けてこの1月に合併対象県本部・くみあい運輸(株)・(株)エーコープライン・本所グループ会社統括部で構成する「物流新会社組成事務局」を設置。これを推進母体とした再編の着実な実施をはかっていく。
内部管理態勢の強化
 役職員行動規範の見直しを行い、これにもとづく全役職員・全社員から行動規範遵守の宣誓書提出に取り組んでいる。

◆改革が実感できる取り組みとする段階に入る

 この報告に対して、山本副大臣は「いまの時点ではほぼ合格点の水準になっている」と評価したうえで、米については大胆に改革しているが、園芸や生活事業での改革が遅れていることなどを指摘したという。
 全農では、「全農改革はその実効性を担保するための制度や仕組みの骨格づくりの段階を終え、今後、実行そのものを加速させるとともに、その実行が生産者・組合員・消費者に見える・実感できる取り組みとするべき段階に入る」との認識を示した。また、加藤専務は記者会見で「慢心することなく改革を進めていく」と語った。

(2007.1.23)

 

 

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