農業協同組合新聞 JACOM
   
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「JAの経営戦略」テーマに 
−第1回新世紀JA研究会を開催 (2/7〜8)


 昨年10月に設立された新世紀JA研究会(代表・萬代宣雄JAいずも代表理事組合長)が2月7〜8日、虎ノ門パストラル(東京都港区)で第1回研究会を開催した。JAの経営戦略をテーマに、組合長など約40名が参加した。
 萬代代表は挨拶で「安倍内閣が日本産農林水産物の輸出拡大を目標に掲げたこと、品目横断対策がスタートしたことなど、いろいろな課題を抱えているが、組合長、常勤の立場から議論を戦わせ、地域、農家に貢献したい。全国連の講師も招き、広範に勉強したい」と述べた。
 このあと、7日はJAえひめ南(愛媛県)の林正照組合長、JAいずも(島根県)の萬代宣雄組合長、JAはが野(栃木県)の坂入勝男経済部次長が報告をした。また、全国連からはJA全中の土屋博常務が「役職員の意識改革」について、8日はJA全農の加藤一郎専務が「経済事業改革」について、(財)協同組合経営研究所福間完爾顧問が「総合JA変革への経営戦略ー総合JA批判への対抗論理」について報告した。

○JAえひめ南の報告
農協経営はヒトが基本
 専門農協との一体化が課題で、間に合えば今年3月の理事会にはかりたい。経済社会と農業農村の環境変化によって組合員のJAへの期待が多様化しているので、課題を適切に掘り起こし、農業振興、社会貢献に資するJAになりたい。このため、行政と一体となった農業支援センターを設立した。
 経営とは「ヒト、モノ、カネ、情報、技術」の5要素の組み合わせで運営するものと考えており、なかでもヒトが基本なので、常勤役員以下の各層に多数の研修を受けさせている。
 今後、組合員の期待に応えるため、地域の実態を踏まえた担い手づくり、経営受託の法人化、食育教育の充実、ファーマーズマーケット・福祉事業の充実などが課題だ。

○JAいずもの報告
出雲市成人の50%がJAへ加入
 組合員の新規加入を増やすため「総合ポイント制」を導入した。具体的には、組合員カードによるJA事業の全ての購入代金の支払いにポイントをつける。これにより、昨年9月末に正・准合わせ4万7000人だった組合員数が今年1月末で5万9000人余りとなり、1万2000人増加した。出雲市の人口15万人のうち成人が11万8000人おり、JA加入率は50%になる。
 これには農協が経営しているコンビニ店の効果も反映されている。「農協は腰の曲がった年寄りのもの」と思っていた若者が、コンビニをやっている農協を見直し、利用するようになっている。
 行政と一体になった農業支援が地域農業の復興と地域貢献に役立つとの思いで、出雲市農業支援センターを行政と共同で設立した。

○JAはが野の報告
歩いた結果が受注に成果
 全農の県域物流システムを導入して節約された要員も投入し、「出向く営農渉外活動」をすすめている。昨年は訪問数1万8000件中、受注に結びついたものが1731件 あった。金額では2億5500万円になる。農家訪問は資材販売にいくのではなく、営農設計の相談を受けるのと、JAの持つ諸情報の提供が主体。1日1人10戸訪問を心がけている。
 訪問すること自体が組合員に喜ばれている。歩いたおかげで注文が農協に来た、と実感されるものが多々ある。今後、生産法人、担い手、大型、普通農家など、階層別対応を強化する。

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 新世紀JA研究会は、次回は5月10、11日にセミナーを開催する予定。

(2007.2.13)

 

 

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