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人材確保や収支改善が課題 −厚生連次期3カ年計画


 JA厚生連はこのほど、19年度から21年度までの第5次3カ年計画(案)をまとめた。
 JA厚生連事業は農山村人口の高齢化等による農業就業者人口の減少などに加え、昨年4月に行われた診療報酬改定(引き下げ)、勤務医および看護師不足等による外来・入院機能の規模縮小の動きなど、厳しい状況が続いている。そのような状況のなか、次期3カ年計画では、患者・利用者の立場に立った良質な厚生事業サービスの提供、経営の安定を目指す健全化・効率化に向けた取組みの推進、第24回JA全国大会決議の実践とJA各事業との連携強化、を3つの柱として事業活動を進める。

◆医師、看護師等医療スタッフの確保が課題

 重点実施項目と具体的な取組み事項は、(1)地域で選ばれる病院・施設作りとサービスの高度化、(2)厳しい経営環境を克服する厚生連経営改善策の強化、(3)厚生連事業に適した事業実施条件整備への取組み、が柱。
 (1)については、厚生連利用者の組合員加入促進など厚生連の組織基盤の拡充、組合員等地域住民が必要としている厚生連病院の役割・機能の発揮、医師・看護師等人材確保の推進、などを図る。
 特に医師・看護師等の人材確保については、都市部の診療所や特定の診療科に医師や看護師等が偏在していること、都市部での個人診療所の開業が増えていることなどが医師・看護師等の人材不足の大きな要因となっている。農村部では慢性的な医師・看護師等医療スタッフの不足で、閉鎖する病院や診療科が見られるなど医療環境にとって深刻な現実があり、取組むべき最優先の課題として上げている。

◆診察機能の充実、医療材料集約化等でコスト削減

 (2)については、自主ルールとして定めた「経営改善指針」にもとづく経営の健全性の向上、医療連携による患者確保や診察単価引き上げを検討・推進するなど収支改善への取組み、病院建設等への適正な投資および多様な財源の確保、などを進める。また、医療スタッフを確保し診察報酬の上位施設基準の取得など診察機能の充実、医薬品や医療材料の集約化等によるコスト削減を図り、事業収支の改善をめざす。
 (3)については、法令等による諸規制のなかで、厚生事業に馴染まないものは、行政庁や全中等と検討し改善に努める、病院・施設経営の安定化を図るため、診療報酬・介護報酬適正化対策、医師確保対策および消費税等税制改正運動にJA全中等と連携して取組む、病院・施設の機能・体制の整備を図るため、厚労省・国土交通省からの補助金等の確保対策の推進、の3項目を内容とする、厚生事業の特性を勘案した法規制・税制改正および規制緩和など制度対策への取組みを行う。また、厚生連未設置府県の保健・医療・福祉活動のあり方について、JA全国機関と協議会を設置し検討する、健康管理専門連における賦課金のあり方について関係団体と協議する、を内容とする、厚生事業の基盤整備等組織対策への取組みを進めるとしている。
 その他、会員向け広報誌の内容充実を図るとともに、広告媒体を活用した対外広報活動の強化も謳っている。

(2007.2.22)

 

 

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