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厳しい環境下で新生プランを着実に実践する
全農3か年計画(19〜21年度)(案)を決定 (3/9)


 JA全農は3月9日の経営管理委員会で、19年度からの「3か年計画」(案)を決めた。なおこの3か年計画は、30日の臨時総代会で最終決定される。
 この3か年計画は、「経営理念」の具現化として掲げた新生プランの5つの使命を着実に実行していくことを基本方向としているが、円安や原油高、肥料・飼料原料の価格高騰といった海外要因は「新生プラン策定時の想定をはるかに越えた水準で推移しており、こうした基調は、しばらく続く」ために、18年度の収支は計画を大きく下回ると予測。19年度も「非常に厳しいもの」とならざるをえないとしている。
 こうした状況を出発点として、事業コスト削減・事業の仕組みの見直しなど、事業・経営面での「目に見える改革」を加速し、統合全農としての事業競争力、多様な生産者ニーズへの的確な対応による利用率向上によって事業分量拡大と経営収支の改善をめざすとしている。

◆組合員・消費者への基本施策も

 今回の3か年計画でもっとも特徴的なことは、組合員・会員JA・消費者に対する「対象者別基本施策」を打ち出したことだ。
 「組合員」に対しては、新生プランで掲げた担い手への対応強化・販売力強化・信頼される価格の確立などの実行。各地域の課題をふまえて地産地消の支援・食農教育や高齢者生活支援などを通じ、地域農業の活性化に貢献するとしている。
 「会員JA」に対しては、事業の「選択と集中」を促進し「事業2段や実質事業1段の実現」「一定の事業規模を確保した事業展開」によって「JAグループ経済事業としての競争力強化と事業運営コスト削減」をめざしていく。
 「消費者」に対しては、安全で新鮮な国産農畜産物を安定的に提供する「生産・流通ネットワーク」構築による事業の拡大をすすめるともに、JAグループならではの「環境と調和した農業」に取組み、環境保全に貢献するとしている。
 子会社も含めた全農グループ職員へのメッセージともいえる「新たな事業体制・経営管理のもとでの意識・行動改革」では、「もっと近くに。」を行動で示すために、現場ニーズに即応する行動力を高め、その成果を生産者・消費者に評価・実感してもらい「職員が達成感や意欲を感じられるような、現場起点」の事業運営を行うとした。

◆事業別施策では販売力強化などを強調

 事業別実施具体策・行動計画では、総合直販事業の強化・拡大、安全・安心な農産物の提供、研究・開発・普及機能の見直しと再構築(営農販売企画部門)。販売を起点とした生産・集荷、流通コストの削減、販売力強化による手取り確保、パールライス会社の再構築(米穀事業)。園芸事業改革県別具体策の実践、卸売市場販売の重点化と効率化、直販の強化・拡充(園芸農産事業)などがあげられている。
 畜産事業では、生産部門と連携した「こだわり商品」の取扱拡大など販売事業を強化していく。また、畜産農家支援と生産基盤対策としては、地域飼料会社の広域合併、小規模・老朽化工場の閉鎖・大型工場への統合による飼料コスト低減。ET卵生産体制強化やハイコープ肉豚生産150万頭体制の確立などを打ち出している。
 生産資材事業では、「生産資材コスト低減チャレンジプラン」の実践、IPM技術の普及と適合資材の普及拡大、環境に配慮し省力化に寄与する農業用フィルムなど安全・安心な農産物づくりなどへの対応、仕入れ機能の強化と価格反映などをあげた。
 生活関連事業では、県域マスタープランの実践による事業基盤の再構築(燃料)、一体化会社の組成による店舗事業の強化、組織購買の再構築(生活)などが上げられている。

(2007.3.12)

 

 

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