農業協同組合新聞 JACOM
   
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生協のインターネット利用の商品購入者が100万人を超える
無店舗販売事業を革新する可能性も


◆年間500億円をネットで販売

 日本生協連は、組合員がインターネット上で商品購入の注文ができる「eフレンズ(生協インターネット共同基盤)」の登録人数が今年3月末で57万人に達し、これとは別に独自にシステム構築をしたパルシステム連合会の「オンラインパル」(約22万8000人)、コープこうべの「eふれんず」(約12万7000人)、東海コープ事業連合の「eフレンズ」(約4万6000人)などでも約43万人が登録しており、生協全体では約100万人がインターネットを利用して商品を購入できる状況になっていると公表した(日本生協連以外は5月中旬の数字)。
 日本生協連のeフレンズは、2000年にスタートし01年7月の登録者数は1万人あまりだったが、02年11月に10万人、03年9月に20万人となり、06年7月には50万人と、毎年10万人単位で増え続けている。現在eフレンズのサイトは31あり(複数の生協が事業連合のサイトを共同利用しているので生協数とは一致しない)57万人が登録されており、近々60万人に達する勢いだ。
 他のシステムの場合も、パルシステムは01年のスタートだが、毎年ほぼ4万人づつ増え、05年からの東海コープでもこの1年間で2万人増えており、各サイトとも確実に利用登録者が増えているといえる。
 日本生協連のeフレンズの年間利用額は約500億円で、消費者向けインターネット物販ではアマゾンの約1100億円、デルの約600億円に次ぎ3番目の規模だという。生協の場合は食品が中心だが、食品のインターネット販売としては100億円を超える規模のものは他には見当たらないという。

◆30歳代〜40歳代の主婦がもっとも多く利用

 利用の仕方はどの生協のサイトも基本的には、送られてきた共同購入のカタログやチラシを見て、パソコンや携帯電話で専用サイトにアクセスし商品番号や数量などを入力し発注するようになっている。
 インターネットを利用して発注することのメリットの一つは、OCR用紙に記入して前週注文した商品が届いたときに生協職員に手渡す方法より注文締切りを1日程度遅くできること。そのため、実際に届いた商品を確認してから翌週の買い物ができる。そして、購入履歴が簡単に確認できるので、不必要な購入や購入忘れが少なくなることなどがあげられる。
 また、メールマガジンやメールを組合員に送ることで利用を促進している生協もある。例えば、コープこうべでは、締切り日の朝までに注文のない利用者に、今週のお買い得商品の紹介や購入忘れはないかを問うメールを送っているという。
 利用者の年代は、日本生協連のアンケート調査では、30歳代がもっとも多く42%、次いで40歳代35%、50歳代13%、20歳代6%、60歳代以上が4%となっている。コープこうべでも30歳代と40歳代で65%、東海コープでは30歳代後半から40歳代前半の利用がもっとも多いというように、30〜40歳代の主婦の利用が多いようだ。

◆朝と夜が利用のピーク時間帯

 利用する時間帯は、午前と夜の2つのピークがある。日本生協連では、9時〜12時と20時〜24時。パルシステムでは、朝の10時台と夜の10時(22時)が2大ピークになっている。朝のピークは家族を送り出し家事が一段落した時間帯であることと、「朝の10時が締切り時間になっている」(パルシステム)ことが理由のようだ。締切時間が13時のコープの場合は10時から13時がピークだという。夜のピークは、仕事をしていていたり翌日の朝に用事がある主婦が利用しているのではないかと見られている。OCR用紙とは違い提出時間が自由なので、自分のライフスタイル合わせて注文していることがよく分かる。

◆組合員とのコミュニケーションの手段としても

 日本生協連では、今後、生活のさまざまな分野でインターネット活用が広がり、生協における利用者も増加すると予測されることから「用途も現在の共同購入の注文機能にとどまることなく、多彩に拡大させていくことが重要な課題」になると考え、これまで関連会社に委託していたeフレンズの事業をこの4月1日から日本生協連に戻し、新たな課題に取組んでいくことにした。
 とくに、従来は共同購入のために組織した班が組合員のコミュニケーションの場として機能してきたが、個配が進展し班におけるコミュニケーション機会が減少傾向にあること。若い世代ではインターネットを使ったコミュニケーションが当たり前になっていることなどから、日本生協連や各地の生協でeフレンズのようなインターネット基盤を、商品購入だけではなく、組合員相互のコミュニケーションの場として活用できるよう検討がはじまっている。
 日本生協連では「受注ツールの選択肢を組合員に提供するインフラ」としてだけではなく、「生協の事業活動や組合員との関係をより改善するための重要なツール」になると位置づけて、共同購入や個配のインフラがすでに整備されているという生協の強みを活かして、「無店舗事業革新を目指して、新基盤システムの開発や共同購入サイトの強化、コミュニティサイトの開発など」を図っていくことにしている。
 日本生協連が考えているような幼児をもつ子育て世代、食べ盛りの子どもがいる世代、子どもが独立した世代、高齢者世帯など、組合員のそれぞれのライフスタイルや暮らしの趣味嗜好を考慮したコンテンツの提供。カタログなど紙媒体よりも低コストでたくさんの商品を紹介できるという特性を活かした商品アイテムの拡大。さらにネット機能を活かしたコミュニティサイトなどが実現すれば、無店舗事業に新たな展開が生まれる可能性は高いといえるので、今後も注目していく必要があるだろう。

(2007.5.23)

 

 

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