農業協同組合新聞 JACOM
   
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自家農産物を活用して豊かさを工夫 農家の家計実態調査
−(社)家の光協会が実施


 「家の光家計簿」の記帳者を対象にした「2006年農家の家計実態調査」をこのほど(社)家の光協会文化部がまとめた。
 調査に協力したのは255世帯。昨年1年間の世帯収入や家計支出などを聞いた。世帯の区分では「農業収入がある世帯」(農業収入のみ、農業収入中心、農外収入中心世帯を含む)が173世帯で7割を占めた。農業収入のない「非農家」は82世帯だった。家計簿の記帳年数は「10年以上記帳」が7割を超えている。
 回答者の平均収入額は948万円。1200万円以上の世帯が3割近くあり、とくに「農業収入のみ」の世帯では平均額が1300万円近くの収入となった。
 一方、支出の平均額は407万円。収入区分別にみると「農業収入がある世帯」では391万円で「非農家」が440万円となった。農業収入がある世帯のほうが支出が少なく、余裕があるようにみえる。
 しかし、「家計・貯蓄・返済などに使える金額」では「非農家」の約644万円に対し、「農業収入がある世帯」は614万円と少なくなっている。とくに「農業収入のみ」世帯では533万円程度となっている。
 この結果について、家の光協会文化部では「農業収入がある世帯」では収入自体は多いものの「農業関連支出が多いことから、家計支出を抑制して、貯蓄や返済などにまわされている可能性が高い。一方で農業関連支出の適切な管理が必要であることも推察される」と分析している。

◆自家農産物で豊かな暮らし

 ただ、家族で作った農産物を生活にとりいれることで家計に活用していることも明らかになった。
 この調査によると、農業収入がある世帯の自家生産物の消費額は平均して7万円。自家生産物消費があると回答した世帯に絞ってその額をみると平均で30万円超え、年間の家計消費支出の7%を占めた。
 また、自家生産物消費がある世帯では「臨時費」の割合が高くなっており、自家農産物消費分を、お祝い事への支出や交際費などにあてているという構図があるのではないかという。
 同協会では「農業収入のある世帯では家計に使える収入自体は少ないが自家生産物を活用し、日々の生活をより豊かなものしようとする姿が伺える」と指摘している。
 農家の家計を知る統計としては農水省が「農業経営動向調査」を行ってきたが平成15年度で終了した。一方、(社)家の光協会では昭和28年から家計簿記帳運動を進めてきていることから、そのネットワークをいかして今回初の家計実態を調査したもの。調査はJA全国女性組織協議会と協力して行い、19年度も引き続き実施することになっている。

(2007.5.25)

 

 

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