農業協同組合新聞 JACOM
   
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「的確かつ十分な」対応ではなかったと反省
「牛ミンチ」問題での省内問題点を整理 −農水省


 食肉卸売業者ミートホープ社の「牛ミンチ」偽装などの問題の対応について、農水省は検証チームを設置し聞取り調査を実施、その結果を公表した。
 指摘されている問題は、つぎの4点だ。
情報提供を受けた平成18年2月、3月における対応が遅く、北海道庁への回付についても国と北海道庁で事実認識が異なっている。平成18年4月、5月頃に不正の証拠として肉を持ち込んだが、北海道農政事務所の職員は取り合わなかった。ミートホープ社が全国業者と判明した以降もこの問題を放置していた。牛肉トレーサビリティ法の立入検査の際にJASの担当者も同行していたが、表示の不正を見抜けなかった。
 これらの点について調査報告書では
早急に対応が必要との認識が乏しく初動対応は適切を欠いていた。このため、疑義情報の受付や管理の方法をより明確化するとともに、回付文書の事実認識の違いについては、情報回付の授受を確認する仕組みを構築する。
肉を持ち込んだとの事実は確認されていないが、3月に情報提供者の訪問を受けている(文書記録なし)。今後は、情報提供があった場合に、その都度記録として食品表示110番カードを作成する。
9月、10月に警察からの照会を受けていたため、JAS法の調査を控えた。今後は、警察の調査に支障があるか独自の判断を行わず、警察の意向を十分に確認し、事案に応じた調査を実施する。
業務用途向けはJAS法の適用除外であるため、徹底した調査が行えなかった。今後は、業者間取引をJAS法の品質表示義務の適用対象とすることを含め、表示のあり方を幅広く検討する。
 そして「一連の対応について、的確かつ十分でなかった」とし、「職員の認識を含め、率直に反省し、今後速やかに改善措置を講じていく」としている。
 この問題は、全国の生協、食品スーパー、CVSなどに波及し、国民の「食」に対する不安・不信感を広めている。その責任は、ミートホープ社はもちろんのこと、原料まで確認をしていなかった食品加工業者、販売業者とともに、情報を得ながら1年半にわたって適切な措置を講じてこなかった行政機関の責任も大きいといわざるをえない。国民の「食」に対する信頼を回復するために迅速で適切な対応が待たれる。
 また、この件について農水大臣を直接補佐している永岡桂子政務官は7月12日付「安倍内閣メールマガジン」で、官邸に寄せられた福島県の男性の質問への回答なかで「農林水産省と北海道との連携が不足していたことなど、的確かつ十分に対応しきれなかった点があったことについても明らかになっている。農林水産省として、こうした点について反省し、今後、早急に対応を改善して、消費者の皆様の信頼回復に努めてまいります」と述べている。

(2007.7.13)

 

 

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