農業協同組合新聞 JACOM
   
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内部統制整備は経営改革そのもの
21年度末目標に内部統制システム構築めざす −JA全中
 (10/3)


 JA全中は10月3日、JAグループにおける内部統制整備に向けた取り組みとして「内部統制整備に関する常勤役員研修会」をイイノホール(千代田区内幸町)で開催した。

◆自主的判断で21年度末目標に内部統制システム構築

 内部統制とは、企業等の内部で、違法行為や不正が行われることなく、ミスやエラーなどをなくし、組織が健全でかつ有効・効率的に運営されるよう各業務段階で所定の基準や手続きを定め、それに基づいた管理や監視などを行うこと。そのための一連の仕組みを内部統制システムという。
 証券取引法等の一部を改正する法律が、名称を「金融商品取引法」と改め2006年6月に成立し、20年度から上場企業等は財務報告にかかる内部統制報告書および内部統制監査が義務化されることになった。今のところ、JAグループに関しては内部統制に関する法的な規定はないが、内部統制システムの構築は企業形態にかかわらず必要だとの認識で、昨年開かれたJA第24回大会決議にもとづき、JAグループでは21年度末を目標にJAにおける内部統制システム構築の自主的な取り組みを進めている。
 研修会はその取り組みの一環として開かれ、全国のJAから常勤役員、幹部職員など約700名が参加し、JAにおける内部統制システム構築に向けた経営者の意識改革の必要性などを学んだ。

◆システム構築は経営改革そのもの

 JA全中築地原優二経営企画部長は、『JAグループの内部統制整備に向けた取り組みについて』と題し、報告を行った。「内部統制整備は、財務報告にかかる内部統制の評価・監査に向けた対応だけでなく、コンプライアンスへの取り組み強化、業務の改善・効率化などもめざしており、JAの信頼性向上につながるものだ」と、JA版内部統制システム構築の必要性を訴えた。
 全中は18年6月に〈内部統制整備プロジェクト〉を立ち上げ、JAグループがめざす内部統制整備に向けた対応策や手法等について、モデルJA(JAセレサ川崎、JAあいち知多)での内部統制システム構築を例に検討を行っている。「内部統制整備とは、この間JAが進めてきている経営改革そのもので、これをしっかりやることでJAの信頼回復につなげたい」と、内部統制整備と経営改革は分かちがたく結びついているとも語った。
 また、現在モデル事業を行っているJAセレサ川崎の芹田悟経営企画部長は、「昨年9月からシステム構築に取り組んでいる。実施手順は、内部統制整備の対象および範囲を決め、行うべきことを文書化する。その内容と現場の事柄などが一致するかを確認し、その後現場がその通り動いているかをチェックする。システム構築で特に必要とされるのは、『確認』を繰り返すこと」と、システム構築には常に現場の状況を確認しながら先に進むことが求められていると語った。また、「内部統制とは本来、事業実施に必要で構築されていなければならないもの。JAの社会的責任を果たすためにも、率先して取り組むべきだ」と、JAセレサ川崎の内部統制整備に取り組む姿勢を語った。
 内部統制システムの構築に取り組んでいるJAも多いが、現場の状況を的確に反映したシステム構築ができるか、注目される。

(2007.10.10)

 

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