農業協同組合新聞 JACOM
   
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情報交換など進めファーマーズマーケットの拡大を
−JAファーマーズマーケット全国大会
(12/3)


全国大会で挨拶する前澤常務
全国大会で挨拶する前澤常務
 全国で取り組まれているファーマーズマーケットの関係者を集め「JAファーマーズマーケット全国大会」が12月3日、東京で開催された。
 ファーマーズマーケット(以下FM)および農産物直売所は、農産物の新たな市場外流通として定着し拡大を続けている。先の第24回JA全国大会で、FMは地産地消、消費者との交流等の拠点として位置づけられ、事業促進が謳われた。しかし、急成長を続ける一方で、消費者ニーズに合った品揃え、品質管理、生産履歴や食品表示の徹底、消費者に対する「農」の情報提供や「食」の提案など、十分な対応が行われているとは言えない部分もある。この大会では先進的FMの実践報告やパネルディスカッションを通じて、関係者の情報交換と人的交流を進め、FMのさらなる普及・促進をめざしている。
 JA全中前澤正一常務は、「現金収入、規格外出荷、生きがいづくりなど、FMの効用は多岐に渡り、農家組合員から期待されている。しかし、スーパーや量販店などとの競争の激化によりFMを取り巻く環境も厳しく、どのように周りと差別化し生き残りが図れるか。そこが問われている」と、全国の関係者が交流し経験等を共有することが、今後のFMの発展につながると挨拶した。
 山本雅之JA総研理事・主任研究員からは、『JAファーマーズマーケットの現状と事業戦略』のテーマで、FMが現在抱える問題やその解決に向けた提案があった。
 「兼業農家の切り捨てなどでJAの事業量は減っているが、人員整理と施設の統廃合等の実施で、かろうじて利益を確保している。農業の活性化とJAの活性化は切り離せない関係にある。JA改革とは農家の収入を増やすことで、そのために販売事業に全力を上げて取り組む必要がある」と、FMの果たす役割の重要性を強調し、「FMが機能することで大幅な流通コスト削減が図れ、農家、JAとも手取りの増大につながる」と、そのメリットを語った。しかし小規模FMでは安全・安心を確保するためコストがかかりすぎるので、合併などによるFMの大型化が課題になる。「その時に、消費者のニーズに合わせた品揃や、理念とする地産地消を貫き地域農業に貢献できるか、などの問題がでてくるのではないか」と、今後予想される問題を語った。
 事例報告では、和歌山県JA紀の里「めっけもん広場」、福島県JAすかがわ岩瀬「はたけんぼ」、神奈川県JAはだの「じばさんず」の全国的に注目されるFMの取組が報告され、また、パネルディスカッションでは、事例報告者がパネラーとなり、FM情報誌の発行や地元料理の紹介など日常的に取り組んでいる活動を紹介した。ある参加者は、「自分達のところでもすぐ実践できることがあり、参考になった」と語った。

◆消費者に積極的に農やJAを紹介

JAビルの周りで開かれたFM東京バザール
JAビルの周りで開かれたFM東京バザール

 翌日の4日は大会参加JAが、JAビルの周りを会場に「JAファーマーズマーケット東京バザール」を開催した。JAの特産品などの物品販売を中心に、各JAの紹介を行った。大手町という場所柄、米や大型(重量)野菜などの売れ行きは芳しくなかったが、リンゴや柿、みかんなどの果物、ジュース、漬けのもなどの加工食品は、売り切れもでるほどであった。なによりも新鮮さが魅力だったようで、リンゴを買ったサラリーマンに聞くと、「試食しました。新鮮なリンゴの美味しさに驚きました」と、購入動機を語ってくれた。また、米、野菜、果物などの農産物を作っているJAや、農業、農村への理解を求めるため各JAの販売員は、美味しい食べ方などを話しかけていた。

(2007.12.6)

 

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