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水田作組織法人は多角経営で高収入〜営農類型別経営統計 −農水省
(12/25)


 農水省統計部は12月25日、平成18年営農類型別経営統計(耕種)を公表した。水田、畑作、野菜作などの1組織または1戸当たりの販売農家の農業経営収支などを調べたもの。

【水田作経営】
 水田作経営の組織法人と集落営農を面積規模別でみると、組織法人は集落営農に比べ農業収益が多いうえ、加工・販売など農業生産活動以外でも事業を展開しているため、1組織当たりの総所得がどの規模でも集落営農を上回る。事業従事構成員1人当たりの総所得でも、組織法人の方が集落営農に比べて高く、どの規模でも2倍以上の差が出ている。
 50ha以上の層では、組織法人の総収入は1組織(構成員数は15.4人)当たり年間1億3198万円、総所得は3655万円、1人当たり総所得は237万円になる。集落営農の総収入は1集落営農(構成員数は56.5人)当たり年間5635万円、総所得は2594万円、1人当たり総所得は46万円と、大きな差がある。組織法人の総収入のうち農業粗収益は81%、集落営農は同98%となっていて、組織法人の多角経営ぶりを示している。
 水田作経営の集落営農と個別経営を比較すると、20ha以上の集落営農の構成世帯1戸当たりの農業所得は45万円で、経営規模は1.0ha。これと同規模の個別経営(1.1ha)の農業所得は2万円だ。どちらも農業粗収益では大きな差はないが、集落営農は農地の集積による作業の効率化や農機具などの共同利用により、農業経営費が圧縮されるためだ。
 水田作経営の集落営農でも、耕作を中核的に担う主たる従事者がいる組織は、いない組織に比べ経営耕地面積、農業粗収益等が大きく上回っており、農業所得は1組織当たり2倍の671万円になる。主たる従事者がいる組織は、麦類、豆類の収入や受託収入が多いためだ。
 水田作経営の主業農家(農業所得が50%以上で、65歳の農業従事60日以上の者がいる農家)の1戸当たり農業所得は、都府県は293万円(前年比7.6%減)で、北海道は550万円(同6.1%増)。北海道の主業農家1戸当たりの水稲作付け面積が都府県の3倍の12haであること、18年産米の作況指数が105(都府県は95)で、価格も前年より高かったこと、水田作作物(麦、大豆など)の収入が増えるなど好条件がそろったため。

【畑作経営】
 全国平均の1戸当たり農業粗収益は672万円で、前年比2.4%増。農業経営費は原油価格の高騰で2.6%増加し、427万円。この結果、農業所得は245万円で2.0%増えた。
 北海道の畑作経営の農業粗収益は2757万円で、前年より9.2%増えた。作付け面積が増えたのと、生食用ばれいしょ、野菜価格の上昇により、いも類と野菜の収入が増えたことによる。農業経営費は原油価格の高騰で1842万円(5.8%増)となったが、農業所得は前年比16.7%増の916万円だった。

【野菜作・果樹作・花き作経営】
 野菜作経営(全国)の1戸当たりの農業粗収益は露地作が452万円、施設作が952万円で、前年に比べそれぞれ5.8%、6.7%増えた。農業経営費は露地作が261万円、施設作が548万円で、それぞれ2.7%、6.0%増えた。この結果、農業所得は露地作が191万円、施設作が404万円で、それぞれ10.4%、7.7%増えた。
 果樹作経営(全国)の1戸当たりの農業粗収益は449万円で、前年に比べ2.8%増えた。農業経営費は265万円で、0.9%減った。この結果、農業所得は184万円で、8.7%増えた。
 花き作経営(全国)の1戸当たりの農業粗収益は露地作が597万円、施設作が1221万円で、それぞれ0.6%、1.0%増えた。農業経営費は露地作が327万円、施設作が841万円で、前年に比べそれぞれ0.8%、2.0%増えた。この結果、農業所得は露地作が270万円で0.3%増え、施設作が380万円で1.0%減少した。

(2007.12.28)

 

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