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「全農イネ原料バイオエタノール製造プラント」起工式を開催 −JA全農
(2/25)


◆全国に先駆け稲バイオ燃料製造へ

 JA全農では、平成18年度より「バイオエタノール原料イネの栽培実証調査」に取り組んできたが、農林水産省の平成19年度「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」に正式に採択されたことを受け、新潟県下で原料イネの栽培からエタノールの製造、エタノール混合ガソリンの販売までを一貫して実証する事業を本格化させてきた。

起工式に臨む裄V会長と施工関係者
起工式に臨む裄V会長と施工関係者

◆待望の製造プラント起工

経過概要を説明する小池部長
経過概要を説明する
小池部長

 2月25日、バイオエタノール製造プラントの建設予定地である、コープケミカル(株)新潟工場内において、施主・JA全農の裄V武治会長をはじめ、農林水産省・新潟県等関係自治体、関連JA代表者、施工者らを集め、「全農イネ原料バイオエタノール製造プラント」起工式・神事が行われた。
 起工式に先立ち、これまでの「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」の取組み経過を、JA全農営農総合対策部の小池一平部長が、事業施主側を代表して説明した。 
 平成18年度は、バイオエタノール原料イネの栽培実証調査に取組んだ。JAにいがた南蒲の2生産組織の代表者が、飼料用多収穫イネ品種「北陸193号」を計83aで栽培し、880kg/10aの収穫があった。ちなみに新潟県の主食用イネの平均収量は508kg/10aだ。
 平成19年度は、栽培面積を拡大し、栽培実証調査を継続した。栽培品種は同じ「北陸193号」でJAにいがた南蒲の生産者31名が参加、栽培面積26haに作付けした。またJAえちご上越では11名の生産者が参加し、11haに作付けした。
 その結果、602kg/10aの収穫があった。18年度と比べ、収量が10aあたり278kgも減少したが、その原因について小池部長は「「北陸193号」は、ジャポニカ種とインディカ種両方の特性を持っているが、インディカ系は低温に弱いと言われており、昨年は7月までの日照不足が影響し、低温障害を生じたため」と説明した。
 平成20年度は、8JA(JAにいがた南蒲・JAえちご上越・JA北蒲みなみ・JA北越後・JA新潟みらい・JA新津さつき・JA越後中央・JA越後ながおか)が栽培に参加する。栽培述べ面積は314haとなる予定だ。
 「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」の内容は、バイオ燃料の地産地消の観点から、一定地域において原料イネの栽培、バイオエタノール製造、直接混合によるバイオエタノール混合ガソリンの製造、JA-SSでのバイオエタノール混合ガソリンの販売、までを一貫して行う事業モデルを作り上げることだ。
 イネ原料バイオエタノール製造プラントの建設予定地は、コープケミカル(株)新潟工場内(新潟市北区太郎代)で、生産規模は1000KL/年。バイオエタノール混合ガソリン(3%混入のE3ガソリン)の製造場所は全農新潟石油基地(新潟県北蒲原郡聖籠町)内で製造量は3万3000KL/年。バイオエタノール混合ガソリンの販売は、全農新潟石油基地供給エリアで、管内JA-SS約20か所で販売される。販売価格はレギュラーガソリンとほぼ等価になる見込みだ。
 また、発酵残渣の有機質飼料・肥料としての活用、エタノール製造における籾殻の熱源利用に向け安定した熱源利用確認籾殻熱源利用残渣を水田土壌に還元し、原料イネ栽培への有効利用を図るなどの取り組みもすすめる。

◆地域ぐるみの協力体制を構築

完成予想図

 こうした取組みを具体化させ、成功させるためには、地域の協力体制が必要となるが、そのため、「イネ原料バイオエタノール地域協議会」を昨年7月に発足させた。
 協議会にはJA全農をはじめ、原料供給を担う先述の8JA、バイオ燃料を取扱う14JA、(独)農業・食品産業技術総合研究機構、地域行政1県12市町(新潟県・新潟市・三条市・見附市・上越市・阿賀野市・新発田市・聖籠町・五泉市・燕市・加茂市・長岡市・妙高市)が参加している。
 製造プラントの予定工期は平成20年2月着工、平成21年1月試運転、その後本格稼働およびエタノール混合ガソリンの販売開始となる。

(2008.2.27)

 

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