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CEの収支改善はまったなし カントリーエレベーター等共同利用施設運営改善研修会 −JA全中 (2/23)

◆稼働率漸減、4割近くが赤字

 カントリーエレベーター(CE)は、全国米麦改良協会によれば16年3月末現在、全国に839基ありその貯蔵量は225万トンで、米麦の生産・販売・流通にとって欠くことのできない基幹施設となっている。また、ライスセンター(RC)も全国に3754基ありその貯蔵量は66万トンで、両者を合わせた共同乾燥調製施設の貯蔵能力は約300万トンとコメ生産量の3分の1強を占めている。
 しかし、全国農協CE協議会の調査によれば、平均稼働率は平成12年度の70%から年々漸減し14年度には67%となり、36%のCEが赤字経営に陥り、JA経営上の課題となっている。とくに稼働率の低いCEでその傾向が顕著だという。

◆運営改善マニュアルを作成

 JAグループでは、第23回JA全国大会の決議にもとづいて平成15年度から17年度の3か年に経済事業改革に重点的に取り組むことにしているが、その「経済事業改革基本方針」の事業目標の一つとして「CE等集出荷施設の運営改善」に取り組むことにしている。そのため、経済事業改革中央本部は、16年11月に「CE等共同利用施設運営改善の取り組みに関するマニュアル(全国版)」を作成し、これへの取り組みを促進してきている。
 そして、2月23日にこの取り組みをより確実に推進するために、県域およびJAの実践事例の紹介などを含めた標記の研修会を、JA全中として初めて開催。全国のJA・全農本部(経済連)・中央会関係者、全農全国本部・全中関係者ら約250名が参加、この問題への関心の高さをうかがわせた。

◆地域再生プログラムで補助金返還が免除

挨拶する米本全中経済事業改革室長
挨拶する米本全中経済事業改革室長

 米本博一JA全中経済事業改革室長は開会の挨拶で、CE等の運営改善が進まなかったのは、(1)共同利用施設なのでJA施設として統廃合など思い切ったことができなかった、(2)補助金施設のため目的外使用や受益地のしばりがあったことをあげた。
 そして(1)については、共乾施設の赤字は全国で100億円にものぼり、これを放っておけない状況になっている。稼働率が低下しているのは、JAの行動や生産者のニーズが変わってきているからだ。統廃合を含めた改革はまったなしの状況にある。
 さらに「補助金のしばり」があって進まなかったが「地域再生推進のためのプログラム」の中で、一定の条件を満たせば統廃合や受益地域の見直しができるようになり、補助金返還が免除されるようになったので、「改革に弾みをつけて欲しい」と述べた。

◆利用率向上で収支を改善

 研修会は、甲斐野新一郎全中経済事業改革室次長が「CE等共同利用施設運営改善の取り進め」について、園部和彦全農生産資材部技術主管が「施設投資のあり方について」を情勢報告。ついで事例紹介として、全中経済事業改革室の内海康夫氏が「地域再生のためのプログラムの活用」を、水田徳美JA佐城参事(佐賀県)が「CE、RC拠点統廃合について」、川澄則雄JA茨城みどり営農指導課長・水田営農対策室長(茨城県)が「担い手法人へのRC運営委託」を、草葉和郁全農福岡県本部副審査役が「JAへの個別改善提案――これからの農業施設の在るべき姿」、全中経済事業改革室が「その他運営改善対策」を報告した。
 事例紹介は具体的で全国の参考となる内容が多かったが、共乾施設の運営改善のために共通していえることは「収支改善するには利用率(稼働率)を向上させること。そのためには、受益地域の拡大と自己完結型大規模生産者や生産法人をどう取り込むか」(甲斐野次長)にあることが全体的に確認されたのではないだろうか。

(2005.3.1)


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