農業協同組合新聞 JACOM
   
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新たなコメ共同計算システム構築へ
全農が再発防止対策 (6/2)

 JA全農は秋田県本部と(株)パールライス秋田のコメ不正取引問題を受けて6月2日、再発防止対策を発表した。記者会見では、問題の背景について「全農には消費者軽視の体質があるのではないか」との質問が出て、田林理事長は「消費者重視へと改めるべき点は改めていく」と答えた。また萬専務は「統合前の経済連は、全農にとってお客様だった。県本部となってからも、そうした意識を残している面があるのではないか。とにかくコンプライアンス(法令順守)の意識が浸透していない」などと述べた。
 秋田問題を受けての全国一斉調査では、類似の不正はなかったものの、7県本部で7件の不適切な行為が見つかった。うち2件は助成金の誤請求だが、5件は販売対策費を含むコメの共同計算の不適切な運用だった。
 このため再発防止対策には、入札取引における公正な価格形成を妨げる恐れのある販売対策費の支出を禁止するなどの禁止事項を盛り込んだ。
 一般的な商取引で買い手へのリベートとされている販売対策費は、スケールメリットに見合う金額を支出することなどをルール化しているが、さらに実態を調査し、支出の目的や範囲、算出根拠などについて基本要領を策定する。
 また早期精算のため、生産年の翌年度末を目途に共同計算を終了する手法を検討。さらに各県本部共通の在庫管理と共同計算の収支管理を行う新たな米穀システムを来年2月を目途に構築する。
 コメ事業に限らない全般的な再発防止対策としては▽内部監査体制の拡充再編▽経営役員会による改革実行状況などの監督▽情報開示▽意識改革の促進▽透明性の向上に向けた子会社役員体制の整備▽会外(第三者)相談・通報窓口の対象先拡大などがある。
 一方、秋田県本部についての対策では、同本部職員以外から本部長を選ぶことを検討。外部の血を導入したい考えだ。
 また同県内の消費者とJA組合員の代表、大学教授ら有識者などで構成する県本部刷新委員会を設ける。さらに6月に県内公募で選んだ消費者と生産者による定期的懇談会を実施するほか、懇談会代表と刷新委員会が定期協議をするなど開かれた県本部に向けて画期的な対策が並んだ。
(2005.6.3)


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