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売れ残りを恐れて不適正処理に走る −全農調査の詳細 (6/2)

 JA全農は35府県本部のコメ取引自主点検で、不適切な行為が7件見つかったため、さらに全国本部から現地に出向いて調査をし、その結果の詳細を6月2日公表した。
 これによると、秋田県本部の場合、昨年6月、取引先の卸会社から、売れない計画外流通米約600トンを返品され、代金200万円を戻す際、計画外米であるにもかかわらず、計画流通米の共同計算財源から支出。しかも共計委員会の審議を経なかった。このため再発防止策では、共計米との扱いの区別を明確にして共計の適正運用を徹底する。
 また茨城県本部は昨年4〜6月の入札で、落札してくれた卸会社に落札数量に応じて販売対策費(リベート)を合計4700万円支払っていた。前もって金額を口にしたりはしない入札推進であっても、落札者だけへのリベート支出は、適正な価格形成を妨げかねない。
 このため再発防止策では、センターの規程をふまえ、不公正とか差別的と認められる行為の禁止事項を盛り込んだ業務マニュアルを整備、徹底させるとした。
 春先になると、余ってきたコメをさばくため売り手には焦りも出る。三重県本部の場合、売れ残りの恐れがある11年産米の販売対策費が足りなくなったため、12年産米共計財源からの支出で補った。その際、共計委員会の了承は得たものの支出にあたっての稟議(りんぎ)決済を怠った。
 売り手が買い手に販売対策費や協力費を支払う取引慣行があるが、その中には輸送費や倉庫費の助成などもある。山形県本部は15年産の一部について稟議などの手続きを経ずに運賃助成を卸会社に支払っていた。各JA倉庫に分散していた端数ロットの売れ残り米を一括して買った卸会社がそれを集めて回る経費に対して約240万円を助成したが、支払いの証拠書類もなく、支出根拠が明確でないとされた。
 同じ山形県内の全農庄内本部はロットの大小などには関係なく14、15年産米で合計約11億円の運賃助成をしていたが、その中には約9億円の販売対策費も含まれる。運賃支出は課長権限だが、販売対策費の支出は共計委員会の付議事項であるのに、すべてを課長決済で一括処理していた。
 こうした不適正な行為に対して再発防止策は▽共計委員会を管理機関と位置づける▽外部監査法人などによる調査の実施▽県本部は年3回収支や在庫を全国本部などに報告▽全国本部は期中の監査をする−などの対策を挙げている。

(2005.6.6)


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