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飼料作物を強調 企画部会で生産者委員 (2/24)

 農水省の食料・農業・農村政策審議会は24日、企画部会で基本計画原案を検討し、JA全中の山田俊男専務は、自給率向上には米、麦、大豆の具体的な作物戦略が重要となる、とくに飼料作物の位置づけが大事であり、粗飼料では自給率100%を目標に工程管理をすべきだ、と強調した。
 麦と大豆は品質の均質化などで新たな需要に応えていけるし、飼料用米の生産拡大も考えて戦略的施策の展開が必要だ、とした。
 また輸入飼料に頼っている畜産・酪農の実態からも自給率はカロリーベースが基本であると強調した。
 これに対して日本フードサービス協会の横川竟会長(日本経団連理事)は、国際比較のためには金額ベースを基準にするのが当然と反論したが、農水省は「あくまでもカロリーベースが基本」と答えた。金額ベースでの国際比較はかえって難しいとも説明した。
 ほかに経済界代表からは「地産地消は自給率向上に直接つながらない」との意見が出て、自治体首長や生産者代表は▽例えば、スーパーでも産直コーナーは売上げが伸びている▽対面販売は食育につながる▽生産者の意欲を刺激する、などと反論した。   
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 次回の企画部会は3月3日に開き、文面の最終調整に入るが、今回も米・麦・大豆戦略などで意見が出たように、まだ補強がいくつか必要とされている。
 部会傍聴者からも、例えば「小麦や大豆などは現行計画を上回る増産となったが、その要因の検証結果が明確ではない」などの声が聞かれた。
 また飼料作物の作付面積が減っている中で、ホールクロップサイレージ(稲発酵粗飼料)は伸びているが、その要因も明らかでないとの声もあった。
 麦、大豆、稲発酵粗飼料ともに実績が上がった最大の要因としては、効果的な助成措置が挙げられるが、原案ではその評価が明確でなく、これでは今後、実効ある戦略を展開できる基本計画にはならないだろうとの批判もあった。
 全体として企画部会の議論は、生産者の所得補償ではかみ合っていなかった。
 基本計画をめぐる問題提起はなお続く。今後、国会での農政議論の展開が注目される。

(2005.3.1)



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