農業協同組合新聞 JACOM
   
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事業管理費の圧縮で赤字改善 −15年度JA経営概況 (1/18)

 JA全中は、15年度のJA経営概況をまとめ1月18日の経済事業改革中央本部委員会に報告した。
 経済事業については869JAの集計で、販売、購買など「農業関連事業」(共通管理費配賦前事業利益段階)の赤字JAは355。前期にくらべ30JA少なくなり、割合は40.9%となった。平均赤字額は8300万円で前期より1600万円の減となった。
 一方、純損益段階での収支均衡を目標とする「生活その他事業」での赤字JAは、前期より35JA減ったものの589と67.8%を占める。平均赤字額は9500万円となっている。
 2期連続で経営実績を提出した745JAの集計では、農業関連事業部門の、事業総利益は3648億円で前期比287億円の減益となった。販売品の販売、取り扱い高と、生産資材供給高の減少が主因。
 ただし、一方で事業管理費が前期比418億円圧縮されたことから、事業利益段階では前期比131億円の赤字改善となる△549億円となった。
 生活その他事業は、事業総利益段階で前期比38億円増の3021億円となった。ただし、これは15年度から新たな部門分類となったために14年度は農業関連事業に計上していた事業を15年度に生活その他事業に移すなどの見直しがあったと考えられるという。
 事業管理費は110億円圧縮されたことから、事業利益段階では148億円の赤字を改善し△356億円となった。

 

◆営農・販売の強化が課題

 信用事業では、貸し出し利息が減少したことなどから、事業総利益段階で前期比172億円減の6592億円となった。事業管理費は共通管理費の配賦で前期比52億円増加したが、全体では45億円圧縮され5391億円となった。事業利益段階では前期比127億円減の1201億円となった。
 また、共済事業では長期共済の大量の満期到来を新契約で補いきれず、事業総利益段階で前期比51億円の減益となる5103億円となった。事業管理費は、顧客満足度の向上、コンプライアンス対応のための体制整備コストなどが要因となって、前期比131億円増加した。その結果、事業利益段階では前期比182億円の減益となる1959億円となった。
 部門合計の税引前当期利益(営農指導事業分配賦後)は前期比118億円の増益となる1722億円となった。トータルで赤字となったのは73JAで全体の8.4%(869JAベース)。ただし、全体として人件費の圧縮など事業管理費を抑えることで収支をカバーしている実態にある。18日の経済事業改革本部委員会では「JAの合理化は必要だがそれだけでいいのか。営農、販売事業の強化をしなければならない」といった意見が出た。

(2005.1.28)


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