農業協同組合新聞 JACOM
   
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金額ベースの自給率目標も提示
−5年後目標も議論に 新基本計画  (2/10)

 農水省は2月10日の審議会企画部会に新たな食料・農業・農村基本計画の骨子案を示した。
 基本計画の柱となる食料自給率目標の設定については、現行計画策定の11年度から15年度まで総合食料自給率(カロリーベース)40%のまま横ばいのため、その要因を検証。消費面では(1)「食生活指針」の取り組みが具体的な食生活の見直しに結びついていない、(2)米などの消費拡大対策が性別・世代別の消費動向やライフスタイルの変化などをふまえていない、(3)食の安全に関心が高まっているが国産農産物の有利さが活かされていない、を指摘。また、生産面では(1)加工・業務用需要を含め消費者、実需者ニーズの把握、対応が不十分、(2)担い手の育成・確保が不十分なことや、耕畜連携による飼料生産が進まなかったことなどから、効率的に農地が利用されず不作付け地や耕作放棄地が増大したこと、をあげた。
 そのうえで今後重点的に取り組むべき事項を生産面と消費面でそれぞれ明確化し(別掲)、その実現によって達成される目標として平成27年度の食料自給率を数値で示す。
 また、食料自給率目標はカロリーベースだけではなく現行計画では参考にとどまっていた金額ベースの食料自給率目標と合わせた2本立てとする方針を示した。

■安くなれば数値下げる?

 カロリーベースの食料自給率は人が生活するうえで欠くことのできないエネルギーの国産農産物がどの程度供給できているかを示したもの。ただし、輸入飼料に依存する畜産物や、そもそもカロリーの低い野菜や果実などの農産物生産の実態が反映されにくい面がある。
 こうしたことから企画部会の議論では「日本農業の実力を示す数値として金額ベースの自給率を示すべきだ」との意見が一部委員から出されていた。農水省はこうした意見があることもふまえて今回、数値を二本立てで示すことにしたもの。
 金額ベースの食料自給率は15年度で70%だ。しかし、この指標にも問題はある。畜産物、野菜なども含めてどれだけ国産の生産額があるかを示すことにはなっても、低価格で供給されれば金額ベース の自給率には影響しない。農水省は付加価値を付けた国産農畜産物を消費者が選択すれば金額ベースの自給率も上げることができるとする。しかし、一方で現場に求められているのは農産物価格が低迷するなかでの、より一層のコスト削減による供給だ。そのため、こうした生産現場の努力が実現したとしても、自給率としては変化がないという可能性もある金額ベースを目標として掲げることが適切かどうかという議論もある。

■工程管理の適切な実施

 骨子では食料供給力(自給力)と食料自給率の関係についても明記する方針を示した。
 食料自給率は、カロリーベースであれ金額ベースであれ平常時の国内生産の結果を反映したものであり、不測の事態での国内農業の食料供給力の程度を示すものではないと解説。そのうえで不測時においても国民が最低限度必要とする食料供給が確保されるよう、日ごろから国内農業生産の増大を図ることを基本に、備蓄と輸入を適切に組みあわせる必要がある、と基本法の規定を改めて記す。
 ただ、そのための方策として指摘するのは、自給率目標達成に向けて農地・農業用水などの農業資源の確保、担い手の確保、育成、農業技術水準の向上というもの。自給率目標実現に向けた施策がすなわち食料供給力の確保につながると言っているにすぎず、とくに新しく食料供給力確保のための施策のあり方を打ち出したわけではない。
 そのほか食料自給率目標の達成に向けては、その取り組みが着実に実施されてできるだけ早く向上に転じるよう施策の工程管理を適切に実施することも盛り込む方針にしている。

■政府あげて自給率向上への取り組みを

 この日の企画部会の議論では元JA全青協委員長の森本一仁専門委員から「農水省だけの取り組みでは実現はできない。政府あげて取り組むという姿勢をみせるべき」との指摘があったほか、臨時委員のJA全中・山田俊男専務は「計画期間をなぜ27年度とするのか。現行計画では22年度に45%とする目標がある。27年度にする理由がなければまさに先延ばしの論理」と5年後の目標も示すべきだと主張、また「不足している作物をどう植えるか、粗飼料をどう生産するか、そのために水田に大家畜をどう導入するかといった自給率向上のための戦略作物を設定し、飛躍的な生産拡大を図ることが重要」などと強調した。
 次回は2月22日に開催される。

◎骨子で示された自給率向上に向けて重点的に取り組む事項

【消費面】
(1)分かりやすく実践的な「食育」や「地産地消」の全国展開
(2)米をはじめとした国産農産物の消費拡大の促進
(3)国産品に対する消費者の信頼の確保

【生産面】
(1)経営感覚に優れた担い手による需要に即した生産の促進
(2)食品産業と農業の連携強化
(3)担い手への農地の利用集積、耕畜連携による飼料作物の生産などを通じた効率的な農地利用の推進

◎カロリーベースの食料自給率(15年度)

国民1人1日あたり国産熱量(1029kcal)÷国民1人1日あたり供給熱量(2588kcal)×100=40%

※畜産物は輸入飼料によるカロリーを控除して計算する。
(例)鶏卵の自給率(96%)×鶏の飼料自給率(9.7%)=鶏卵のカロリー自給率(9.3%)

◎金額ベースの食料自給率(15年度)

食料の国内生産額(10.6兆円)÷食料の国内消費仕向額(15.2兆円)×100=70%

(2005.2.15)


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