農業協同組合新聞 JACOM
   
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JA経営で深刻な意見 全中の事業計画協議の質疑から (3/9)

 「米価が下がっている一番の要因は、農水省の政策が軸足を『生産者から消費者へ』移したからだ。来年度も需要が減少するから転作を強化するというが、その必要はないと思う。全中は、もっと生産者の実態を踏まえた政策を政府に働きかけるべきだ」「小泉政権は、WTO交渉の中で、日本農業を台無しにするような発言をしており、でん粉の抱き合わせ制度も危機的状況だ。農政運動の積極化を望みたい」など深刻な意見が、JA全中の新年度事業計画案を協議する地区別代議員会(昨年11月)で続出した。そうした意見と、それに対する全中の考え方をダイジェストしてみた。
 コメについては、全中として「生産者の実態を踏まえた政策展開を政府に働きかけていく。当面は40万トンの政府買い入れなどを実現させる。消費拡大は、お米ギャラリーなどが積極的な取り組みを進めている」との考え方を示した。
 WTOとEPA(経済連携協定)交渉に対しては「わが国にとって重要な品目については譲れないとの態度を明確にし、引き続き強力に運動を展開する」と答えた。
 「新たな食料・農業・農村基本計画の中間とりまとめでは、地域農業が崩壊する」という意見が多かったが、その後、JAグループの主張で、担い手要件に柔軟性を持たせる修正が実現した。一定の結論が出たものを除いて、今後に残された問題や悩みをめぐる質疑の要約は次の通り(カッコ内は全中の考え方)。

 =経済事業改革関係=

 JAの経営方針として共同利用施設に投資し、生産と流通にかかわってきたために自己資本基準(固定比率)で改善計画を策定しなくてはならない。これはいかがなものか(固定比率、他部門運用比率の超過JAは農水省の指導で改善計画を策定する必要がある)。
 営農指導の費用の捻出が課題だ(営農指導事業はJA事業の根幹だ。予算を立てる段階で、事前に信用・共済各事業からの費用配賦基準を明確にして、それを確保する必要がある)。
 JAは行政の代行までしながら地域農業のためにがんばり、経済事業が赤字になっても大丈夫なようにバランスを熟考しながら経営をしている。全中は現場の実態を毅然として農水省に伝えてほしい(毅然たる態度で訴えていきたい。経済事業の財務目標などは、大会決議にもとづき、経済事業改革中央本部で議論した結果だ。目標達成へ県中と一体となって支援していきたい)。

 =経営指導関係=

 不祥事を起こしたJAに対し、責任追及できる法律を制定するくらいの仕組みが必要だ(「不祥事に対するJAグループの具体的取り組み」により未然防止に取り組むとともに「要改善JA要綱」を策定し、不祥事発生JAには改善指導している)。
 減損会計の導入で店舗統廃合後の遊休施設がどう評価されるか心配だ(JAの特性を踏まえた対応ができるよう引き続き農水省と折衝していきたい)。
 JA貯金の員外利用制限を撤廃してもらいたい(撤廃して民間企業と同じ土俵に乗ることには、危険な面がある。撤廃できる環境にはないと考える)。

(2005.3.9)



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