農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
国際競争力強化へ生産性さらに向上 養豚と養鶏の「あるべき姿」示す
−農水省が報告書 (3/30)

 農水省は3月30日、養豚と養鶏の「あるべき姿」を検討してきた懇談会の報告書をまとめた。国際競争力の強化を柱に、生産コスト低減や担い手支援の方策などを示した。今後5年間これに沿った施策を実施し、工程管理をしていく。新たな食料・農業・農村基本計画を受けた酪肉近代化指針が先に出ており、これで畜産分野の「各論」が出そろったことになる。

☆優良種豚群を造成

 養豚経営では、母豚が産む頭数を増やすとともに、1頭あたりの重量を上げて産肉量も増やすという生産性向上が重点。また、より高品質肉をつくるため優良種豚群の造成を支援する。
 指標としては、10年後程度を目標に、人工授精や自動給餌機の導入など技術進展を見込んで試算の結果、家族経営で繁殖母豚150頭、主たる従事者1人あたり年間所得900万円を掲げた。
 試算の前提条件は、母豚あたり年間出荷頭数の1割増、肥育豚1頭あたり費用合計の1割削減を見込み、また主たる従事者の労働時間は肥育豚1頭あたり4割削減を見込んだ。
 平成27年度の豚肉生産努力目標は131万トン(15年度は127万トン)。自給率は73%(53%)。

☆効率的な育種改良

 養鶏経営は、土地利用型農業と比べ構造改革が進んでおり、認定農業者率は31%(採卵場)と他の作目より高いが、より競争力の強化が重要とし、養豚と同じく生産性向上を掲げた。またトレーサビリティシステムの積極的導入などによる銘柄化が必要とした。
 一方、法人化、協業化、グループ化を推進する。
 問題の一つとしては、原種鶏などの大部分を海外の育種会社に依存している現状がある。これでは家畜伝染病が海外で発生しても国内の安定供給に影響するしまた国内の消費者ニーズに合った鶏の改良も難しい。
 このため国内で遺伝資源を確保し、効率的な育種改良をするために官民の広域的な連携による系統の造成と利用に努める。
 鳥インフルエンザ発生の経験を生かす項目を立て、発生時の被害軽減策などを挙げた特徴もある。

☆食品残さを飼料化

 養豚と養鶏に共通して、食品産業から出るパン屑、豆腐・焼酎・でん粉のカスなどを飼料にする策を打ち出したのも特徴だ。見過ごされていた大量の食品残さを未利用資源として活用。飼料自給率の向上、飼料コスト低減をねらいながら自然循環機能を増進する。
 このため食品と配合飼料のメーカー、畜産農家などが連携した飼料製造と給与システムの構築に取り組む必要があると提起した。
 また飼料費を低減するために、丸粒トウモロコシの関税割当制度や、外国産飼料用麦のSBS(売買同時契約方式)による輸入制度の有効活用も挙げた。
 家畜排せつ物利用では、耕種農家が求めるたい肥を供給するため成分の分析を実施する。排せつ物管理の簡易対応については恒久施設化の推進が必要とした。

(2005.4.4)



社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。