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農産物等輸出促進協議会を設立
官民一体で農産物輸出促進を (4/27)

 農林水産物の輸出促進を官民一体となって進めるための「農林水産物等輸出促進全国協議会」の設立総会が4月27日、KKRホテル東京(千代田区大手町)で開催された。
 政府は3月に開催した食料・農業・農村政策推進本部で決定した“21世紀新農政の推進”のなかで農林水産物の輸出額を倍増させる目標を掲げているが、同協議会は、その目標達成に向け関係者が一体となって取り組むために立ち上げたもの。設立総会には農業、林業、水産業、食品産業、酒類業、流通業、外食・食文化関係、観光業、経済界や、都道府県、関係省庁など、幅広い顔ぶれが揃い、報道陣も数多く取材に押しかけ、関心の高さを伺わせた。
 設立総会では協議会の規約および役員等の構成の承認を求め、原案(名誉会長:農林水産大臣、会長:木村尚三郎東京大学名誉教授)通り承認された。会長に選任された木村尚三郎氏は、「安全で安心、美味しい日本の農林水産物を世界の人に食べてもらうことは、米に代表される日本の文化を外国に紹介することです。輸出を伸ばすことは、日本農業の活性化にもつながる」とあいさつし、輸出促進が求められていることを訴えた。
挨拶する小泉首相
挨拶する小泉首相
 小泉総理大臣も来賓として出席。「高品質の日本の農林水産物が、東南アジアを中心とした外国で高値で売れているという。今、日本は最大の輸入国だが、輸入を阻止するのではなく、輸出を伸ばすことを考えたい。守りから攻めへの転換。輸出を伸ばし、日本を世界に宣伝して、多くの人に日本に来てもらう、これからそういうことを考えましょう」とあいさつし、輸出拡大に強い意欲を示した。また、島村農林水産大臣は、「日本型食生活が世界中で、見直されている。協議会では農林水産物の輸出を16年度の3000億円から5年後の21年度に6000億円と倍増させる計画だ」。奥田経団連会長は、「日本の農林水産物は国際競争力を持っていると思う。価格での勝負ではなく、安全・安心、高品質、旨さなどの点で、大変優れている。農業も日本経済の中の一つのセクターで、重要な位置を占めます。実現するか未定ですが、将来、農業団体も経団連に加盟してもらうことも可能ではないかと、私は考えています」と挨拶し、農業と工業が手を携え、社会に貢献することの重要性を訴えた。
パネルディスカッション
パネルディスカッション
 総会では16年度の輸出額2954億円を、21年度には6000億円に倍増させるという、農林水産物・食品の輸出拡大目標を確認した。また、目標実現のため(1)販路の創出・拡大、(2)輸出阻害要因の是正、(3)知的財産権・ブランド保護、(4)輸出志向の生産・流通体制確立、の取組みを進めるという輸出促進基本戦略も承認した。
 総会後、片山寿伸氏(片山りんご(有)代表)、石橋修氏(上海石橋水産品有限公司董事長)、田中豊氏(アジアネット代表)をパネリストに、木村尚三郎会長を司会者として、パネルディスカッションが行われた。
 片山氏は、青森県弘前市で農業生産法人「片山りんご有限会社」を経営。商社を介さない直接貿易で、EU、中国などで市場を開拓。輸出に積極的に取り組んでいる。
 石橋氏は、1998年に上海石橋水産品有限公司を設立。2001年に上海で日本食スーパー「しんせん館」を開店し、現在、上海と蘇州で事業を展開している。田中氏は、1991年にアジアネットを設立。アジア経済分析の専門家として幅広い分野で、アジア進出の日本企業のコーディネーターとして活躍中。三氏はそれぞれの経験等をもとに、農林水産物の輸出の可能性を訴えた。

(2005.4.28)



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