農業協同組合新聞 JACOM
   
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受託組織も経営安定対策の対象に
担い手の要件を議論
−食・農・環フォーラム (5/24)

 農水省は、経営安定対策(日本型直接支払い)の対象を認定農業者と、一定の要件を充たす集落営農に絞る方針だが、これでは認定農業者数わずか約19万などという現実からして、大部分の農家が政策支援からはずされるため、生産現場は「多様で幅広い担い手」を対象とするよう強く求めている。「食料・農林漁業・環境フォーラム」が5月24日開いた食料・農業・農村基本計画の学習会でも政策対象となる担い手の要件、とりわけ集落営農の扱いが焦点となった。
 経営安定対策の制度設計は今秋、その内容が固まる予定。これをにらんでJA全中は担い手対策委員会を設け、7月上旬までに基本的考え方をまとめ、組織討議を経て9月上旬に政策提案を決める。各JAでは担い手づくり戦略をつくる。こうした動きを受けて学習会では、JA全中の考え方や論点などが示された。
 農水省大臣官房の皆川芳嗣審議官は「地域における生産シェアが一定程度以上の担い手に政策対象を絞りたい。JAや農業会議所などが担い手づくりを鋭意進めている。認定農業者数は少ないが、しかし水田農業ビジョンで挙がってきた中核的担い手は27万人もいるから、その中からも認定農業者になってもらう」などと説明。対象者を増やしていく方向を示した。
 一方、全中の冨士重夫農政部長は、農作業の受託組織を対象としない農水省の考え方を問題とした。
 何10haもの農地を託されて、麦・大豆を大規模に作っていても、農地の所有権や賃貸借権のない受託組織は、いくら重要な実働部隊であっても面積要件を充たしていないとされるため冨士部長は「組織として麦や大豆を作り、販売している形を認めることにすればよい」との試案を示した。
 同省には、経営リスクを負わないサービス事業体の受託組織は経営体とはいえないとする考え方がある。
 受託組織は約2万あり、とくに都府県の麦・大豆作で、その役割は大きい。
 また冨士部長は面積要件について▽4haとか10haといった基準をクリアできる経営は少なく、対象からはずれる認定農業者や特定農業団体(法人化の計画を持つ団体)も出てくる▽農地10ha未満の集落が約4割もある▽知事特認の集落営農は1200にとどまっている、などの実態を挙げ「全国的に要件に幅を持たせるべきだ」とした。
 経営安定対策には、外国との生産コスト格差を埋める「ゲタ」の部分と、価格変動の影響を緩和する「ナラシ」部分があるが、ほとんどの小規模農家が支払いを受けられないとすると集落組織の崩壊を招くという危機感の強調もあった。
 さらに品目別では、面積支払いと、生産量・品質に応じて支払う数量支払いがあるが、これを担い手だけに限定すれば、対象外の農家は麦や大豆を作る物財費もまかなえず、生産調整ができなくなるとして、数量支払いは全生産者を対象にすべきだと主張した。
 皆川審議官は「主業農家のいない集落営農組織が支払い対象になるのは難しいが、定年退職者が戻って中核になっている集落などもあり、様々だ。地域ごとの実態に応じて担い手づくりの絵を描いてほしい」とし、また諸課題をよく議論して「来年の国会に品目横断的政策の通則法案を出す予定」と述べた。
 なお同省は、検討課題の焦点となる集落営農の実態調査を行っており、6月末までにとりまとめる。

(2005.5.30 )



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