農業協同組合新聞 JACOM
   
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人件費削減では利益まかなえず
−総合JAの経営概況 (8/1)


 JA全中は、総合JAの平成16年度経営概況(速報調査)を7月29日の理事会に報告した。これによると、事業総利益は主な事業のすべてで減益となり、前年度に比べ3.1%(約640億円)減となった。主因は購買事業総利益が前年度比5.9%(約277億円)減と同調査開始以来、最大の下げ幅となったこと、そして信用事業総利益が3.7%(約271億円)減となったことが挙げられる。
 一方、事業管理費は2.8%(約530億円)減で、前年度の減少幅3.7%より縮小した。このため事業総利益の減少を、事業管理費の削減でまかなうことができず、事業利益は前年度比7.9%(約110億円)の減益となった。
 14年度と15年度は2期連続で事業利益、経常利益ともに増益だった。
 16年度は事業管理費の大部分を占める人件費が3.3%減となったが、前年度より減少幅が1ポイント縮まり、削減が厳しい状況となっている。
 事業利益から事業外損益を加減した経常利益は1.7%(約33億円)の減益。経常利益に特別損益を加減した税引前当期純利益は3%増。これは信用事業の利益に計上されていた貸倒引当金戻し入れを、16年度決算からは特別利益に計上した県が複数あり、特別利益が増加したことによる。
 当期純利益から法人税などを引いた当期剰余金は4.2%(約378億円)増となった。背景には繰り延べ税金資産の取り崩しが大幅に減少したことがある。
 事業取扱高の状況を見ると、信用事業は貯金が2.2%と引き続き増加。内約は定期性貯金が0.6%、要求払い型貯金が6.2%増加した。
 しかし貸出金は住宅ローンなどが堅調に推移する一方で、償還と回収が進み、大口貸付が伸び悩んだことから0.7%減と、5期連続の長期にわたる減少に歯止めがかかっていない。
 共済事業は、満期や失効などの増加から、長期共済保有高が2%強減少した。これは5年連続の中で最大の下げ幅であり、減少幅が年々大きくなっている。
 経済事業は、前年度まで2年連続で横ばいだった販売品販売高が16年度は1%強(約610億円)減少した。相次ぐ台風など異常気象による収量の減少や、16年度産米の価格低迷による。野菜・果実・畜産物価格は堅調に推移した。
 購買品供給高は生産資材が1%強、生活物資が5%弱の減少となり、全体として2.7%(約965億円)の減少。これで8期連続の前年度実績割れとなったが、その中では減少幅が最も小さい。これはAコープや給油所(SS)などの会社化と関連があるとされる。
 JA職員数は、常雇的臨時職員を含め3%減と引き続き減少した。
 組合員数は正が1%減、准が3%弱の増加となり、総数は前年度に引き続いて0.6%増加した。
 なお、この調査は全国875JAを集計対象としたが、項目ごとに回答のあったJA数が異なる。

主な事業取扱高の推移(対前年度比増減率)
(2005.8.1)


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