農業協同組合新聞 JACOM
   
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地域に貢献するJAをめざして
家の光文化賞JAトップフォーラム (8/2)


 家の光文化賞農協懇話会と家の光協会主催の「JAトップフォーラム2005」は、“地域社会に貢献するJAの役割と教育文化活動の重要性”をテーマに8月2〜3日、東京で開催された。7回目となる今回は、全国から105の有力農協と25中央会等から、200人を超す過去最多の役職員が参加した。
 本題では、昨年に続いてコーディネーターを務める増田佳昭滋賀県立大学助教授が「構造政策か地域政策か、問われる農政路線とJAの対応」「JAの新たなる対応と教育文化活動の意義」について課題を提起。次いで山本昌之家の光協会専務から「家の光文化賞JAに学ぶ地域活性化の取り組み」を内容とする提案がなされた。
 実践報告は、組合員と地域住民の交流施設「耳納の里」で注目を集める福岡県JAにじの出利葉史郎組合長、全国初の「あぐりスクール」を開校して子どもの食農教育などに取り組んでいる長野県JA北信州みゆきの石田正人顧問が担当。「地域に信頼されるJAづくりをめざして」展開している多彩な活動を紹介した。
 続いて家の光文化賞の審査委員でもある藤谷築次農業開発研修センター会長が「JAにおける生活文化活動の活性化ならびに家の光事業の果たす役割に関する調査研究」の成果を踏まえて、不成功事例が目立つ広域合併など、混迷するJA運動とその原因について問題点を鋭く指摘し、教育文化活動の時代的役割と展開方向を考える提言を行った。
 1日目の最後に、経済評論家の内橋克人さんが「生き続ける地域社会を築く―新たな農的価値を求めて」と題して特別提言。小泉内閣がすすめる改革・民営化路線の本質を「アメリカのシナリオに基づいた民間巨大資本による分断政策」と分かりやすく解説するとともに、政府の規制改革・民間開放推進会議が検討しているJA事業の分割案などについて「JR・NTT・郵政の次のターゲットは農協事業の分断」と明確に指摘し、農協陣営の注意を喚起した。
 2日目はフォーラムの主テーマについて、課題・事例を提起した6氏によるパネルディスカッションが行われ、参加者を含めた熱い質疑が続いた。このなかで内橋克人さんは、地域社会の危機として「周縁の崩壊、家族の崩壊、人口の減少、環境の破壊」の4点をあげ、「JAはこうした危機を克服する理論武装と運動の構築を」と強くアピールした。
 締めくくりは「21世紀・日本のリーダー像とエリートの育成」と題して、丹羽宇一郎伊藤忠商事取締役会長が記念講演。丹羽さんは経営手腕のみならず、昨年から「立ち上がる農山漁村」有識者会議のメンバーとして「地域自ら考え行動する」取り組みを推進しており、その実践論は参加者に刺激と感銘を与えた。フォーラムの内容は、家の光から資料として取りまとめられる。
(2005.8.9)


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