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米の共同計算で基本要領を制定 −JA全農 (8/26)


 JA全農は事業改革の一環として米の共同計算方式の改善を検討してきたが8月26日、今後、全県共通で取り組む「米等県域共同計算実施基本要領」を制定した。

◆原則は単年度精算

 1年1作の米を消費者に安定的に供給するために米の販売期間は長期間にわたる。そのため販売時期によって価格や販売までの保管経費が異なるほか、販売先によって輸送経費も違ってくる。こうした米の商品特性をふまえて生産者、JAから無条件委託された各県連合会の米事業では、収益を公平に配分するためのシステムとして共同計算方式が広く活用されてきた。
 ただ、これまでは運営にあたってのガイドラインはあったものの、県ごとに多様な運営が行われ全国共通の処理が行われていなかった。そのため共同計算運営の全国統一化をすすめ、県本部、全国本部の管理機能と監査機能の強化をはかることを目的に要領を制定した。
 これまでの共同計算は最終精算までに複数年方式で計算されるケースもあったが、今回の要領では年産単位での運営を原則することを定めた。精算時期は生産年の翌々年3月末までに実施する。17年産の場合は19年3月末までとなる。精算にともなって生じる1俵あたりの端額は翌年産の共同計算に繰り入れる。
 ただ、最終収支残高で損失が見込まれるなどの場合で複数年産共同計算が必要なときは、(1)生産者の事前了解、(2)県本部運営委員会での審議と組合長会議での合意、を得て実施することが必要だとしている。
 
◆監査委員会を設置

 秋田県本部などで発覚した不適正な米取引問題を受けて、卸業者への運賃助成などの販売対策費についても検討してきたが、JA全農は近く販売対策費の支出目的、範囲、算出根拠などについて定めた「販売対策費基本要領」を制定する。県本部はこれに基づいて具体的な実施要領を制定することになる。
 また、今回の基本要領では共同計算の基本的なあり方として、(1)県本部運営委員会で仮渡金や販売対策費などの重要事項を審議する、(2)制定したルールを生産者に事前に開示することなどを明記したほか、共同計算結果をJA、生産者に知らせることも運営要領の基本としている。
 さらに、不適性な運営を防止するため、県本部に監査委員会を設置する。監査委員会は最終精算結果を監査するだけでなく、期中(3月、6月、10月)にも収支、在庫状況をチェックする。これらの結果は全国本部にも報告される。また、最終精算結果については外部監査法人によるチェックも実施することにした。
 全農では今回の基本要領制定で共同計算運営の透明化を図り、とくに販売対策費の見直しでは「農家手取りを最大化することを目的に実施する」としている。

(2005.9.5)



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