農業協同組合新聞 JACOM
   
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農林中金と三菱UFJ幅広く戦略的業務提携
リテール強化急ぐ 提携カード発行も (9/27)


 農林中金は、JAバンクのリテール(小口金融)分野の業務基盤を拡充するため三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との資本提携を含めた戦略的業務提携に合意したと9月22日発表した。MUFGは、三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスが合併して10月1日に発足する。農林中金は、MUFGと、その傘下のカード会社・UFJニコス(株)にそれぞれ約1000億円ずつを出資する。12月末までに正式契約を結ぶ。

◆先端ノウハウ活用

 MUFGグループが持つ最先端のノウハウとインフラを活用し、金融商品などリテール分野の品ぞろえを充実。JAバンクの商品力を強化するねらい。
 提携により、多様化し高度化する顧客ニーズに対応するサービスをスピーディに低コストで提供できる業務体制を整える。
 郵政民営化で予想される競争激化などを背景に、農林中金としては、JAバンクが自前で商品や技術を開発するよりも、メガバンクとの提携で競争力の強化を急ぐ道を選んだ。
 一方、MUFG側には、UFJ銀行が抱えている公的資金を返済するため、資本増強が求められているという事情がある。
 農林中金はすでに昨年9月、みずほグループのみずほ証券に出資しており、今後とも各分野ごとに見て、最適の金融機関と提携していく等距離外交≠フ姿勢に変わりはないという。
 今回の提携もリテール分野の業務インフラ構築に限られ、包括的ではない。

◆偽装・盗難対策も

 UFJニコスは、10月に日本信販がUFJ銀行の連結子会社になるとともに、(株)UFJカードと合併する会社で、提携は同社との関係が非常に密接となる内容だ。
 各JAがUFJニコスとの提携クレジットカードを発行できるようにするのをはじめ、JA共通のポイントサービスも実施する。このため魅力的なポイントプログラムを共同開発する。
 またデータを暗号化できるICキャッシュカードの発行と管理業務で提携。さらに農林中金グループの協同クレジットサービス(株)とのサービス一体化を、将来の統合も含め検討する。
 UFJニコスはまた金庫グループの協同住宅ローン(株)が行う小口ローン保証を再保証する。
 一方、キャッシュカードの偽装・盗難対策で、MUFGグループの三菱東京UFJ銀行は、手のひらの静脈で身体認証ができる多機能ICカードを、JAが発行できるようJAバンクにノウハウを提供する。同行はすでに、このICカードを実用化している。

◆ATM相互利用へ

 また、このカードに対応できる新型のATMを導入するノウハウも提供。新型ATMの相互利用もできるように共同で検討する。
 農林中金グループの農中信託銀行は10月から、遺言執行と遺産整理の業務に本格参入するが、これについては三菱UFJ信託銀行にコンサルティングと事務処理委託を依頼する。
 MUFGグループ側の提携メリットとしては▽UFJニコスのカード会員数拡大▽JAバンクに対する各種リテール商品やノウハウの供給▽JAバンクへのインフラ提供などによる収益基盤の強化が挙げられる。
 なおUFJニコスに対する金庫の出資は、UFJ銀行が保有する日本信販の株式の一部を譲り受ける手法を含めて協議する。

(2005.9.27)



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