農業協同組合新聞 JACOM
   
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経産省が全農に液化石油ガス法にもとづく改善命令
加古川事業所などの供給開始時点検の一部不実施や
虚偽報告で (11/7)

 経済産業省原子力安全・保安院は液化石油ガス法にもとづいて、今年7月に全農兵庫県本部加古川LPガス事業所へ立入検査を行なったが、その際に法にもとづく保安業務の一つである供給開始時点検・調査に関して疑義があると指摘。
 その後、全農全国本部は事業所および県本部からの供給開始時点検・調査は実施していたとの報告をそのまま経産省へ提出していたが、再三にわたり経産省からの指摘を受け、事実確認および原因究明のために関係者へのヒアリングなど内部調査を実施した。
 その結果、同事業所では供給開始時点検を一部実施していなかったことや立入検査時にそのことを指摘されないようにするために虚偽の調査表を作成していたことが判明し、その旨、経産省に9月16日に報告した。
 また、10月には全農神奈川県本部LPガス厚木事業所にも経産省の立入検査が行なわれたが、供給開始時点検を一部実施していなかったことや一部書面の未交付が判明した。
 こうしたことから経産省は全農に対して液化石油ガス法にもとづく改善命令を発出することにした。
 この問題について全農は11月4日、関水理事長、永田、飯島両常務、永井燃料部長が出席し、経過と原因、今後の対応などについて記者会見した。
 それによると、全農のLPガス直売事業は、従来からの卸機能に加えて、JA経済事業改革の一環としてJAから移管され平成15年から始められたものでスキルが不足していたことや、担当者の法令遵守意識が不足していたこと。全国本部・県本部・事業所間の組織的な確認が不備であったこと。農水省の業務改善命令を受け、一斉点検を実施してきたが、食品に関して重点的に点検してきたため、こうした事業での点検にやや甘い面があったのではないか、などが原因としてあげられた。
 今後について全農は「今回発出される改善命令を厳粛に受け止め」次のような再発防止策に取り組む。
▽保安業務を適切に実施する改善計画の策定
▽保安専任部署の設置
▽LPガス内部査察要領(仮称)を制定し、県本部LPガス事業所への査察を実施し、全農全体の保安体制の確立をはかる。
 また、加古川LPガス事業所については、1年以内に事業を他事業者に移管(営業譲渡)する。兵庫県本部の他に2ヶ所あるLPガス事業所については、事業の専門性・保安の高度化をはかるために2年以内に会社化する。全国27の全農のLPガス事業者は、改善命令後3ヶ月間の営業活動(新規利用者推進)を自粛するという。
 現在、全農LPガス直売所は13県本部に27の販売所があるが、事業の管理・監督や保安の高度化をはかるために、県域あるいは県域を超えた広域での会社化を検討していくとした。
(2005.11.7)


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