農業協同組合新聞 JACOM
   
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感染経路は依然不明のまま
高病原性鳥インフルエンザ「感染経路究明チーム」が中間報告 (10/31)

 今年の6月下旬から茨城県および埼玉県で発生した高病原性鳥インフルエンザの感染経路を明らかにするために農水省が編成した感染経路究明チーム(寺門誠致座長)が、10月31日に中間報告をまとまた。
 それによると発症した鶏から分離されたウイルスはH5N2亜型の弱毒タイプで、グァテマラやメキシコで分離された株と「相同性が高い」としている。
 感染経路については、中米から日本に飛来する野鳥はいないこと。鳥インフルエンザ発生国から生きた家きんや鳥、生鮮鶏肉などの輸入が停止されていることから、渡り鳥や輸入家きん肉による可能性は低い。
 そして「分離ウイルス株の遺伝子が中米で分離された株と相同性が高い」ので「中米由来ウイルス株から作出された未承認ワクチン又はウイルスそのものが持ち込まれて不法に使用された可能性について」調査を進める必要があるとした。
 また、国内での農場間の伝播についても、「鶏が農場間を移動することによって伝播した可能性が高い例は2例」あるとしたうえで、水海道市坂手地区については「鶏の移動がないことから、人、車両などにより伝播したと推定」。小川町周辺については「立入り調査等では発生農場間を明確に結びつける伝播経路は明らかになっていない」ので、今後、人・車両・物による伝播の可能性をさらに精査する必要があるとした。
 16年の発生の時には「渡り鳥」説が有力視されたが、今回はその可能性が低いために「人為」説が示唆されているようだ。
 6月下旬から9月上旬にかけて茨城県で発生した鳥インフルエンザ被害は30農場約410万羽におよんだが、これは県内で飼育されている採卵鶏約1000万羽の4割強をしめる。そのうちウィンドレス鶏舎の6農場約262万羽を除く26農場の約148万羽(埼玉を合わせると約158万羽)が10月13日までに殺処分された(ウィンドレス鶏舎のうち2農場は一部殺処分)。また、移動制限対象農場は累計で115農場約770万羽で、殺処分や清浄化ができた地域から逐次制限が解除されてきていた。しかし同じ31日に新たな抗体陽性農場(31番目、約8万2000羽)が判明し、殺処分されることになった。
 生産者のなかには、ウィンドレスは渡り鳥対策としては有効だが、換気扇や鶏糞などからウイルスが外部に出る可能性もあり、殺処分されなかったことは「防疫指針」に反するのではないか、ウイルスの活動が活発になる冬に向かい、抗体陽性が確認されながら殺処分されずにいる262万羽が存在することから再発生するのではと危惧を抱く人もいる。
(2005.11.7)


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