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園芸部門での統合全農の本所機能の再構築などを検討
JA全中販売事業等検討委員会(園芸関係) (11/4)

 JAとJA全農の販売事業を抜本的に見直し、その改革案を検討しているJA全中の販売事業等検討委員会は、11月4日に第3回会合を開き、園芸関係についての検討を行なった。
 今回の検討委員会では、「統合全農の(園芸部門)本所機能の再構築」と「県域における園芸販売事業の再構築」についてが新たに提起され検討された。

産地リレー販売など全農の本所機能発揮と債権管理の一元化

 JA全農は平成5年の組織整備方針で、園芸の市場販売については県域で完結することにし、全国段階は直販機能に特化することにした。そのため統合後も県本部と全国本部の間には事業上の連関性が少ないことから、統合した全農としての事業上の本所的機能は確立していない。しかし、市場流通の変化や青果物需給の変化の中で、統合全農としての本所機能の発揮が求められてきていると同委では分析。
 そのうえで、統合全農としての本所機能を再構築するために「本所が発揮すべき機能の整理とそれを実施する場合の経営資源の確保が必要」であり、「特に全農本所に求められる制度対応や主要品目の産地リレー販売、消費拡大等に取り組むための経営資源の確保が重要であり、生産者・JAによる負担も含めて検討が必要」であると提起した。
 また、市場販売については、市況収集や分荷など基本的な市場販売機能は、生産現場に近いJAが主体的に担うことを基本とするが、債権管理や代金回収については、全農本所に一元化することも提起された。

県域ごとに園芸販売事業を再構築

 現在、JAグループの園芸販売事業は90%が市場販売されており、集荷することが販売事業となっている。直接販売を中心に取り扱いを増加し、収益向上をはかっているJA・県域もあるが、全体としては構造的に赤字であり、市況の低迷などから取扱高が低下し、JA・県域とも機能低下を生じさせているところもあるので、園芸販売に関する経営資源(人・施設・収益)を再構築して、県域ごとにJAグループとしての園芸販売事業の機能を再構築する必要があるとした。
 具体的には、生産量や大消費地からの距離により多様なパターンが存在するので、一つのパターンではなく、複数のパターンを前提に検討する。検討委員会では、基本的には▽市場販売の基本機能はJAだが、債権管理は全農本所集約▽直接販売については、全国は全農青果センターでの機能発揮。県域、JA域では生産・販売の実態に合わせた機能発揮の検討をするが、品揃えなどの観点からは県域集約が有効としたうえで以下のようなパターンを提示した。
 (1)市場販売の基本機能はJA、直接販売は県域に機能集約する(標準的パターン)
 (2)市場販売の基本機能はJA、直接販売はJAと県域が連携しそれぞれが機能発揮する(現在関東近辺でみられるパターン)
 (3)市場販売の相当部分を県域に集約、直接販売も県域に機能集約する(大消費地から距離のある地域でみられるパターン)
 (4)市場販売の基本機能はJA、直接販売もJAが機能発揮。県域は協議会的な位置づけ(園芸のウェイトが低い地域)
 パターンはこれ以外にもあり品目によっても違うので、各県域で検討していくが、直接販売でどうやって収入を増やせるかが課題だとしている。

多元的販売に対応した多様な手数料の設定

 現在、委託販売を前提に手数料率が設定されているが、消費者接近のために多元的な販売を実施するためには、実施する機能に応じた多様な手数料を設定する必要があることも提起した。 そして、機能別手数料を設定する場合には、販売チャンネルごとに組合員の生産組織を再編成し、それらの部会ごとに異なる手数料を設定、また市場販売部署と直接販売する部署を分離し、異なる手数料を設定することも提起した。さらに、「農家手取りが通常の委託販売における農家手取りを上回る場合については、JAグループ(受託者)の判断で弾力的に委託販売から買取り販売に移行することが可能となる販売契約に切り替えていくことを検討する必要がある」とした。
 次回の第4回委員会を11月下旬〜12月上旬に開催し、販売事業の改革案を取りまとめる予定にしている。

(2005.11.7)


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