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引き続き健全な経営を維持 JA共済連上半期業績 (11/29)

◆長期共済前年同期比108.9%と好調

 JA共済連(上原寿宰理事長)は、このほど17年度上半期の業績をまとめた。それによると、長期共済新契約高は、保障共済金ベースで19兆4837億円で、前年同期比108.9%と順調に推移している。共済種別にみると、生命総合共済は前年同期比83.0%の5兆4011億円と昨年実績を大幅に下回っているが、建物更生共済は昨年度に頻発した自然災害によって保障ニーズが喚起され同123.8%の14兆819億円と大幅に増加している。
 長期共済の保有契約高は16年度末より3兆8809億円減少し、364兆2832億円(16年度末比98.9%、前年同期比98.2%)となっている。共済種別にみると建物更生共済は前年同期比101.3%(16年度末比100.8%)と増加しているが、生命総合共済が同95.9%(16年度末比97.6%)と減少し、長期共済全体の保有契約高を押し下げている。これについてJA共済連は、生命総合共済の新契約が伸び悩んでいること、満期契約が高水準で推移していることが主な減少要因となっていると分析している。
 年金共済は、年金年額ベースで883億円と前年同期比116.4%と堅調に推移し、保有契約高も前年同期比104.8%の1兆8179億円となった。
 また、短期共済は共済掛金ベースで2280億円で、前年同期比97.3%とやや昨年実績を下回っている。なお、短期共済の約7割を占める自動車共済は1592億円で前年同期比97.3%となっている。

◆総資産は6120億円増加

 総資産は43兆2101億円(前年同期比101.4%)と昨年同期よりも6120億円の増加となっている。また、総資産のうち運用資産は41兆9865億円(同101.6%)となっている。
 運用資産の内容は、公社債が34兆4814億円(運用資産に対する構成比82.1%)、貸付金が2兆6881億円(同6.4%)、国内株式が1兆2452億円(同2.9%)、外国証券が1兆6980億円(同4.0%)となっている。

◆経営指標、良好な水準を確保

 主な経営指標についてみると、まず基礎利益は自然災害にかかる支払準備金の減少などにより前年同期より169億円増加し、1642億円(前年同期比111.5%)となっている。
 実質純資産額は、農協法の改正および農協法施行規則によって、昨年度までの行政通知(農協協同組合指導要綱)とは算出基準が異なるため単純に比較することはできないが、昨年同期の数字を新たな算出方法で計算し直すと、前年同期より4239億円増の7兆3560億円(前年同期比106.1%)となっている。

◆前年同期より支払余力比率増加

 17年度上半期の支払余力比率は811.5%で、昨年同期よりも68.1ポイントの増加となっている。
 支払余力(ソルベンシー・マージン)比率についても、▽実質純資産額と同様に算出基準が変わったこと。▽利用者により安心を届けるために地震災害リスク係数を従来の「阪神・淡路大震災規模の地震再来想定値」からより厳しく算定する「関東大震災規模の地震再来想定値」に変更したため、分母にあたるリスク額が大きくなった、という二つの理由から、今回から新たな算出方法で計算し直している。
 これにより単純に昨年までの数値とは比較することはできないが、従来の計算方法では847.0%、16年度末で883.1%となっている。

 これらの数値をみると、それぞれ良好な水準を引き続き確保しており、健全な経営状況を維持しているといえる。しかし、先に推進実績の速報値が公表された段階でも指摘したが、「ひと・いえ・くるま」と生保・損保両分野にわたる総合保障がJA共済の最大の魅力だといえるが、自然災害に対する保障ニーズが高まっているとはいえ「いえ」に偏った推進が一段落した後での生命共済の推進はより厳しい状況が考えられるので、17年度下期以降にどのような対策を講じるのか注目していく必要があるのではないだろうか。

(2005.11.29)


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