農業協同組合新聞 JACOM
   
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第28回農協人文化賞

農協運動の明日を拓く
「英知」と「経験」が輝く
4部門11氏を表彰 −農協運動に輝かしい足跡 (5/29)

 農協運動の発展に献身的に尽くしてきた農協人の功績を顕彰する(社)農協協会と農業協同組合新聞の「第28回農協人文化賞」表彰式を5月29日、東京・大手町のJAビルで開催した。

<経済事業部門>  
岡山西農業協同組合 代表理事専務 淺野圭介氏 すかがわ岩瀬農業協同組合 代表理事専務 深谷元樹氏
岡山西農業協同組合
代表理事専務
淺野 圭介氏
すかがわ岩瀬農業協同組合
代表理事専務
深谷 元樹氏
<共済事業部門>  
 会津みどり農業協同組合 代表理事組合長 佐藤七郎氏  福岡八女農業協同組合 代表理事組合長 樋口和典氏
会津みどり農業協同組合
代表理事組合長
佐藤 七郎氏
福岡八女農業協同組合
代表理事組合長
樋口 和典氏
<信用事業部門>  
 高槻市農業協同組合 代表理事組合長 井川勝巳氏  三次農業協同組合 代表理事組合長 村上光雄氏
高槻市農業協同組合
代表理事組合長
井川 勝巳氏
三次農業協同組合
代表理事組合長
村上 光雄氏
<一般文化部門>  
 JA東京教育センター 前学園長 大竹道茂氏  岩手県生活協同組合 連合会会長 加藤善正氏
JA東京教育センター
前学園長
大竹 道茂氏
岩手県生活協同組合
連合会会長
加藤 善正氏
特定非営利活動法人 食・エネ・環境 総合研究所理事長 木塚正光氏 JA福井県研修所講師・家の光専門講師 宮本京子氏
特定非営利活動法人
食・エネ・環境
総合研究所理事長
木塚 正光氏
JA福井県研修所講師・
家の光専門講師
宮本 京子氏
<一般文化部門特別賞>  
 神戸大学名誉教授(故)山本修氏  
神戸大学名誉教授
(故)山本  修氏
 

推薦経過
農協運動の灯を高くかかげる受賞者

多年の実績と思索を讃える
推薦委員長 今村奈良臣

今村奈良臣氏
今村奈良臣氏

 戦後の農地改革の実施から早や60年を迎えた。人間に例えれば還暦を迎えたことになる。その中で、いま、農業、農村、農政、そしてJAは激動の時期を迎えている。
 まず世界的視野でみればWTO農業交渉の妥結へ向けて最終局面を迎えており、その結果如何では、日本農業への影響は計り知れない重大な問題を及ぼすことになりかねない。
 他方、戦後最大の農政改革と言われている経営安定対策の導入等にかかわる農業構造改革に向けた法案が、いま国会で審議の途上である。この農政改革にいかに対応すべきか、農業、農村に、そしてJAに大きな課題が投げかけられている。
 こういう状況の中で今年10月には第24回JA全国大会が開かれようとしている。
 時間軸、そして空間軸という2つの基本視角からとらえて、今年はまさに大きな転換期に直面していることは疑いない。
 このような課題に挑戦し、新たなJAの改革路線を実現するためにはなによりも優れた人材が欠かせない。
 農協人文化賞は、農業協同組合法公布30周年を記念して社団法人農協協会と農業協同組合新聞の共催で制定され、今年で28回という歴史を刻んできた。昨年までに実に224人が表彰されている。
 この農協人文化賞の最大の特徴は、ほかの表彰事業とは異なり、その表彰規定の第3条に「本賞は多年にわたり農協の発展に献身的に寄与した『隠れた功績者に贈る』」と明記されているように、功成り名遂げた方々に贈るのではなく、農協運動を着実に推進してきた、いわば縁の下の力持ちに贈るということを趣旨とする表彰事業である。しかし、それは単なる縁の下の力持ちではない。
 農協運動の第一線で苦闘を繰り返しながら、新しい路線の開拓と事業、経営、組織の改革を目指して、たゆみない思索と実践を重ねてこられた方々に対して贈られるべきものであると考えている。そういう方々の英知と実践の蓄積をいかに農協運動の明日に活かすかというところに、農協人文化賞、その中でも一般文化部門の表彰にはかけがえのない価値があるものと考えている。
 以上のような表彰事業の基本視点に立って、経済事業部門では淺野圭介氏と深谷元樹氏を、共済事業部門では佐藤七郎氏と樋口和典氏を、さらに信用事業部門では井川勝巳氏と村上光雄氏をそれぞれ御推薦申し上げることにした。
 ついで一般文化部門では、各界から推薦された候補者が多数にのぼったため、推薦委員会ではかつてない長時間にわたる厳正な審査と協議のうえで次の各氏を受賞者として推薦することに決定した。
 大竹道茂氏、加藤善正氏、木塚正光氏、宮本京子氏(五十音順)の各氏であり、特別賞として(故)山本修氏を推薦することに決定した。
 大竹道茂氏は、JA東京教育センター学園長をつとめられるとともに、四半世紀にわたり都市農業の果たす機能と役割についてさまざまな手法を通して社会に訴え説き続け、都市と農村の交流の推進のために、まさに縁の下の力持ちの役割を演じ推進されてこられたことが高く評価される。
 加藤善正氏は岩手県において永年にわたり生活協同組合運動を指導、推進され、現在も岩手県生活協同組合連合会会長として活躍されておられる。食と農、地域の文化と環境などのあらゆる面で、農協運動の健全な発展と実践、そして連携、連帯が不可欠という視点から運動に取り組まれ、農協運動に多大な刺激と連帯の環を広げられた。生協人ではあるがそういう観点から農協人文化賞に値するとの高い評価が与えられた。
 木塚正光氏は、現在は有機食品認証普及協会会長として、農産物や加工食品の安全、安心を認証し食糧供給基地九州の実現と推進に全力をつくされているが、かつては佐賀県の農協の指導者として、多大な貢献をされてきた。
 農協経営の健全化こそ組合員への奉仕精神発揮の基本と考え、役職員教育、組合員教育に力を注ぎ、佐賀県農業の発展とJA運動推進の縁の下の力持ちとしての指導力が高く評価された。
 宮本京子氏は、福井県下でJA女性組織活動やJA生活文化活動を通じて、農村女性の地位向上あるいは地域農業活性化に果たす女性の役割の重要性を熱心に説き、また、家の光専門講師として日本ではもちろん中国農村女性活動との連携など、地味ではあるが多面的な活動が高く評価された。
 最後になったが、本年度は特別賞として、昨年7月に故人となられた山本修氏に贈ることとした。山本修氏は、改めて述べるまでもなく、協同組合論、農業協同組合論の分野で学界をリードされた権威であるばかりでなく、数多くの現場に足を運ばれ、現実を直視しつつJAのたゆまざる改革路線、実践路線を提起されてきた類いまれなる研究者であった。ここに山本修氏の生前の多面的御活躍を高く讃え特別賞をお贈りすることとした。


「祝辞」 宮田 勇 全国農業協同組合中央会会長

長年のご尽力と献身的な活動に深甚なる敬意を表します

 このたび、第28回農協人文化賞を受賞された皆様方に、JAグループを代表して、心よりお祝い申し上げます。
 農業協同組合運動の各分野における長年のご尽力が高く評価され、このたび栄えある農協人文化賞の歴史に刻まれることとなった11名の皆様方の功績に対し、深甚なる敬意を表する次第であります。
 今回受賞されました方々におかれましては、経済、共済、信用事業、および一般文化の各部門での、卓越した指導性と先進的な取り組みが広く認められたものであり、同時に、農業協同組合の発展に向けた献身的な活動が高く評価された結果であると確信しております。わが国農業・農村をめぐる情勢が厳しいなかにあって、このように積極果敢に挑戦し、大きな成果を挙げられたことは、JAグループの仲間にとってこの上ない励ましであり、数多くの貴重な示唆をいただけるものと思っております。
 さて、今日の日本農業は、「食料・農業・農村基本計画」に沿って農業の大規模化、農地の集約化が進められる一方で、販売農家の3/4を占める兼業農家や農業就業人口の約6割を占める女性が依然として大きな役割を担っております。また、農村においては、高齢化や人口の減少に伴う耕作放棄地が年々増加する反面、地域農業に対する期待も根強く、直売所や市民農園に見られるように、地産地消や自然との共生志向が高まっております。
 このように、変化・多様化する日本農業や地域・組合員のニーズに的確に対応するため、JAグループでは今、本年10月10日・11日に開催いたします第24回JA全国大会に向け、総力をあげて検討をすすめております。このなかでは、「『農』と『共生』の世紀」を実現するために、地域農業の振興と安全・安心な農産物の提供、安心して暮らせる豊かな地域社会の実現と社会貢献、組合員加入の促進などによる組織・事業基盤づくり、さらには、万全な経営の確立を基本として、JAの未来を切り拓く議案を策定しているところであります。
 加えて、現在、「品目横断的政策を踏まえた担い手づくり」や「WTO農業交渉」など、重要課題が山積しており、引き続き国民の理解と合意を得ながら取組みを進めて参りたいと考えております。
 最後に、これまで農協人文化賞を受賞された方々と今回の受賞者の功績に改めて敬意を表するとともに、本賞の一層のご発展と関係各位のご活躍を祈念して、祝辞といたします。

(2006.5.30)


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