農業協同組合新聞 JACOM
   
松木 三男
全国農薬協同組合 理事長
各界から新年のご挨拶
組織挙げポジティブに対応 受発注システムの構築も

松木 三男氏

 明けましておめでとうございます。
 昨年11月、第41回通常総会におきまして、再び理事長に就任することとなりました。業界は「経営所得安定対策等大綱」が策定され、担い手の育成、確保など、農業構造に大きな変化が進みつつあります。
 この環境のなかで、当組合の運営につきましても適切な対応が喫緊の課題と考えています。惰性に流れることなく緊張感をもって運営に取組んでまいりますので、行政機関並びに関係団体・関係企業の皆様のご指導ご支援を頂きますようお願い申し上げます。
 18年度の農薬流通業界は、5月のポジティブリスト制度の施行は、生産農家並びに生産現場に近い流通業界にとりましては大変厳しい制度でありますが、消費者にはより安全な農産物を供給し、国内農産物への信頼を一層高めるために極めて重要な制度であると考えます。
 当組合は、組織をあげて制度の周知徹底と、懸念されたドリフトによるトラブルを防止するため、ドリフト低減技術の情報伝達などに努めてまいりました。幸い大きな混乱もなく経過していることは喜ばしく思う次第であります。
 また、マイナー作物への経過措置も7月をもって終了し、行政上大きな変化の年度でありました。
 当組合の事業推進につきましては厳しい経営環境にありますが、事業計画に基づきほぼ順調に推移いたしてまいりました。
 先ず共同購買事業につきましては、当組合の重要事業でありますが、流通業界の変化もあり、新規導入剤があったにも拘わらず前年を割り込む実績に終り、今後事業推進に役職員一体となり努力が必要であります。
 教育安全事業につきましては、ポジティブリスト制度の施行に備え、自らが制度を習得するため、全国を8地区に分けた地区会議における研修会の開催並びに地域行政機関との連携を密にし、商系組織をあげて制度とドリフト低減技術の周知徹底を図る努力を重ねてまいりました。
 また、消費者に農薬への正しい理解を得るための農薬ゼミナールを開催いたしました。  
 昨年度の農薬ゼミナールは福岡市において、はじめての試みとして九州各県の安全協支部と農薬工業会九州支部との共催により開催いたしました。200名を超す参加者を得ましたが、ゼミナールの成果を確認するために、農薬ゼミナール開始前と終了後にアンケート調査の協力をいただき、その成果を確認することができ、継続的な開催が必要と強く感じた次第でございます。
 農薬ガイドブックにつきましては、好評をいただき継続的に発刊いたしてまいりますが、19年度版は、7月までのマイナー作物への適用拡大登録を掲載するなど、更に内容を充実し利用しやすい農薬ガイドブックへと改善に努めています。
 IT広報活動につきましては、全農薬ホームページの充実と、WEBによる業界統一受発注システム構築の要望もあり、システム構築の調査研究に着手いたしました。
 不動産賃貸事業につきましては、関係団体としてご指導いただいております、緑の安全推進協会に入室いただき、感謝申上げるとともに更なる関係強化と利便性に役立つものと考えています。
 高速道路料金別納制度は制度が変わり割引率は低下いたしますが、組合員へのサースビ事業として継続いたしてまいります。
 収支決算は、経常利益において予算を上回る結果となり、利用分量配当、出資配当ともに前年同様実施することができました。財政も厳しい状況にありますが、今後とも堅実な運営に努めてまいります。
 19年度におきましては、事業計画に基づき事業を進めてまいりますが、更にポジティブリスト制度を生産農家に浸透するための努力と、機会をとらえ消費者へもポジティブリスト制度の理解をいただき、国内農産物への信頼を高めなければならないと考えます。
 新たな取組みとしては、先に述べました業界統一のWEBによる受発注システムの構築であります。調査によりますと、現在の受発注業務は大部分ファクッスが利用されています、
 しかし、既にWEBによる受発注システムを導入している組合員も増加しつつあり、近い将来WEBによる受発注システムが主流になるものと予測されます。
 過日メーカー十数社を訪問し受発注に関する現状をお聞きしますと、各社各様にWEBによる受発注システムの開発導入が検討されている状況であります。
 現状からすると近い将来、各社それぞれ異なるシステムを開発し、導入されるものと考えます。
 このまま進んでまいりますと、組合員(卸業者)はそれぞれ各社各様のシステムを受け入れざるを得ない状況となり、事務の混乱と負担が増してまいります。
 つきましては、全農薬が受け皿となり、商系における業界統一のWEBによる受発注システムが構築できれば、業界全体としてのシステム開発コストの削減と、事務の合理化に役立つものと、取組みに着手いたしたところであります。
 メーカー各社におかれましても、当組合の構想には積極的な賛意ををお示しいただき、意を強くいたした次第であります。
 しかし、メーカー各社の基幹システムとの接続並びにセキュリティー確保・コスト負担等懸念事項の指摘もございますが、これらは実務担当者にお集まりいただき説明会等を開催し対応に努めてまいります。
 関係メーカー並びに組合員各位の理解と協力をいただき、ねばり強く完成に向け努力いたしてまいります。
 余談でございますが、私は行政機関並びに関係団体・関係企業各位のご指導、ご支援をいただきき九州地域において農薬の流通一筋に、40数年の永きに亘り携わってまいりました。そのなかでも大半を熊本に居住し、阿蘇山を中心に自然豊かな環境と山海の食材にも恵まれ、素晴らしい第二の故郷として過ごしてまいりました。
 熊本には肥後独特の方言が数多くございますが、その中のひとつに「肥後もっこす」なる方言がございます。言葉の意味は、一般的には頑固一徹で無骨な人物、または人の性格を言い表しますが、肥後人の根性を表す方言でもございます。
 日頃、会議や交渉ごと等において自説を主張し他人の意見に同調することなく、取りまとめがつきにくい時など、あの人は「肥後もっこすだけん」の陰口がよく聞かれます。
 しかし「肥後もっこす」の方言には、肥後人の一徹さと純粋性を強く感じることができます。失われつつある一徹な気質、純粋性は、熊本のよき伝統的気風として残したいものと考える次第であります。
 私も、熊本に永らく居住していますので、周囲の人々には「肥後もっこす」と言われているかもと思うこの頃でありますが、もしそうであれば誇りに思うところであります。

(2007.1.4)


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