農業協同組合新聞 JACOM
   
窪田 隆一
農薬工業会 会長
各界から新年のご挨拶
社会的な責任を自覚して公正・誠実な事業活動を展開

窪田 隆一氏

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年を振り返りますと、国内外において、政治・経済・社会・文化・スポーツ・芸術などの各分野で数多くの出来事がありましたが、国内の農業場面を考えると、7月の長野県を中心とした豪雨災害、同月の九州南部を中心とした豪雨災害、9月の九州、中国地方へ甚大な被害をもたらした台風13号、10月の東北,北海道地方の記録的な豪雨による自然災害に特徴づけられるものと思います。農業現場では、多くの方が被災され、農産物にも甚大な被害がもたらされました。
 新年に当り、被災地での復興が一刻も早く進むことをお祈りしたいと思います。
 消費者の方々の「食の安全・安心」に対する関心が高まる中、残念なことに農薬や化学物質に対する不信感はまだまだ根強いものがあります。こうした状況は、業界にとりましても、ひいてはわが国の農業にとりましても、健全な発展の足かせにもなりかねません。いかに消費者の方々に科学的かつ公平な情報を分かりやすく提供し、農薬の役割と安全性についてご理解いただくかが、農薬を使用される農家の方々への応援を含めて当業界の重要な社会的役割の一つだと思っています。
 当会では、平成16年から全国各地でこれまで10回にわたりご希望された消費者の方々にお集りいただき「農薬ゼミ」を開催し、分かりやすく食の安全性に関する情報を提供してきました。お陰様をもちまして、極めて好評を得ております。これもひとえに、県、JA、卸商の方々などの熱心なご協力のたまものです。今後とも、こうした活動を続けることといたしておりますが、関係者の方々の更なるご支援を宜しくお願いいたします。
 昨年5月から施行されましたポジティブリスト制度は、消費者や生産者のみならず食品製造業、農産物輸入業、関係行政・団体にも極めて大きな影響を及ぼしています。手間暇と丹精を尽くして生産された農産物が、ドリフトに起因して、廃棄されることなどは納得がいくものではなく、大きな経済的な損失でもあります。
 農産物の輸入が増加する一方で、食料自給率の向上が図られようとしている中、当業界ではわが国で生産される農産物の安全性への取組といたしまして、生産者向けに近接作物へのドリフト対策のための講師派遣事業を新たに開始いたしました。関係機関、特に県におかれましては、生産者を対象とする講習会の開催の際には、当会の講師派遣事業を更にご活用いただきたいと考えております。
 農薬はその誕生以来、食料生産に欠くことのできない資材として、農業を通じ、健康の増進や環境の保全、社会の発展に大きく貢献してまいりました。
 このような農薬の使命を強く認識し、広く農薬工業への信頼の獲得と増進に努めてまいりました。農薬工業会の活動は、農薬に係わる法・諸規制の改正などへの行政対応と消費者への農薬に対する理解の深厚対策の歴史と言えます。
 それぞれの時代背景を反映した農業・農薬行政、消費者動向などと深く連動してきていますが、数多くの課題とニーズに応えるため、農薬を製造する者の社会的責任を自覚し、公正で誠実な事業活動を行うことと同時に、より高い信頼の構築を指向する姿勢には変わりはありません。
 農薬事業の経営はますます難しくなってきておりますが、このような情勢下にありましても農業生産における農薬の役割と重要性は変わることはないと考えております。農薬工業に課せられた社会的な役割を認識し、「食の安全・安心」、「食の安定供給」、「緑の保全」などに積極的に取組みたいと考えております。
 このような取組みにおきましては、関係の方々のご協力が不可欠です。昨年同様のご支援を下さいますよう心からお願いいたします。

(2007.1.4)


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