農業協同組合新聞 JACOM
   
武田 弘道
全国厚生農業協同組合連合会経営管理委員会 会長
各界から新年のご挨拶
信頼されるJA厚生事業と豊かな地域社会の構築を

武田 弘道氏

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様には、日頃からJA厚生事業にご理解とご協力を賜り、心より厚くお礼を申し上げますとともに、年頭にあたり、今後のJA厚生事業の取組みについて所信の一端を述べさせていただきます。
 JA厚生事業を巡る経営環境は、平成18年4月の診療報酬・介護報酬の同時引き下げや医師不足による外来・入院患者の減少、さらには入院基本料における看護配置7対1の新設に伴う看護師不足の影響等を受け、大変厳しい状況に直面いたしております。
 さらに、平成18年6月には医療制度改革関連法が成立し、新しい高齢者医療制度の創設、療養病床の再編成(介護療養型医療施設の廃止)、都道府県単位を中心とした保険者の再編等が実施されることとなり、医療を取り巻く環境は大きく変化しております。
 特に、厚生連では121の病院を有しており、その約半数が人口5万人未満の市町村に立地しているため、医師・看護師等の確保が都市部よりも一層困難な状況となっています。
 また、会員厚生連全体(24医療事業連合会)の平成18年度決算は、前述のとおり診療報酬・介護報酬の同時引き下げや医師不足等の影響により、当期損益で▲14億5000万円の赤字と、12年ぶりに赤字に転落し、大変厳しい状況となっております。
 本会では、こうした厳しい状況を克服するとともにJA厚生事業のさらなる発展を期するため、昨年、平成16年3月に策定したJA厚生事業長期方針の改訂を行い、JA厚生事業として挑戦すべき課題と基本方向を再整理し、次の4点を柱に据え、事業展開を進めることといたしました。
 1点目は「地域づくり」であります。NPO法人やボランティア団体等の地域団体と密着した地域づくりの検討およびJA厚生事業の理解者・協力者の増加を目的としたJA厚生連サポーターの育成を図ってまいります。
 2点目は「組織づくり」であります。組合員をはじめ地域住民が安心して暮らせる専門性の高い組織づくり、情報公開の推進や医療安全対策の充実による透明性のある組織づくり、多様化する患者・利用者等のニーズに対応すべく快適性を追及する組織づくり、JAとの連携強化による健康増進活動の普及・促進に取り組むJAグループとしての組織づくり、経営の健全化や医師確保対策に取り組む継続性のある組織づくり等を図ってまいります。
 3点目は「人づくり」であります。知識・経験が豊富な高齢者の活用や働き続けられる職場づくり(仕事と家庭生活との両立)の実施、人事考課制度・目標管理制度の導入等による職員のモチベーションの向上等を図ってまいります。
 4点目は「事業環境づくり」であります。JA厚生事業において見直しが必要な諸規制に対する規制緩和への取り組み、厚生連未設置府県における保健・医療・高齢者福祉活動の在り方を検討してまいります。
 特に規制緩和では、厚生連による特別養護老人ホームの直営運営措置について、平成17年から自民党の議員連盟である「農民の健康を創る会」で検討が進められ、昨年6月、通常国会に「老人福祉法の一部を改正する法律案」として議員立法で提出されておりましたが、その後、臨時国会において審議のいらない委員長提案に切り替え、全会一致で12月12日に成立に至りました。今後は組合員をはじめ地域住民のニーズに対応すべく、特別養護老人ホームの設置・運営の推進に向けて、取り組みを進めてまいります。
 本会は、これからも地域住民の皆様の健康を守り、地域で信頼されるJA厚生事業と豊かな地域社会の構築を目指して、保健・医療・高齢者福祉事業の充実に努めてまいりますので、皆様方のより一層のご理解とご協力のほどを宜しくお願い申し上げる次第です。
 最後に、新しい年を迎え、皆さまのご多幸をご祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

(2008.1.4)


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