農業協同組合新聞 JACOM
   
宮田 勇
全国農業協同組合中央会 会長
各界から新年のご挨拶
食と農を結ぶ活力あるJAづくりの先頭にたつ

宮田 勇氏

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は、農政改革として米政策改革、品目横断的経営安定対策等が本格的に始動するとともに、農地制度改革に向けた検討が開始されました。これに対応し、我々JAグループとしても、担い手づくりや新たな米需給調整システムにおける計画生産の徹底に全力をあげて取り組んでまいりましたが、19年産米の急激な米価下落や新制度に加入した担い手の収入減少など、農政改革は初年度から大変な困難を抱えることとなりました。
 さらに、WTO農業交渉におけるファルコナー議長案の提示や日豪EPA(経済連携協定)交渉の開始など、昨年はわが国の食料・農業・農村の将来にとって極めて重要な年となりました。
 こうした中、JAグループは今年、次の課題について重点的に取り組んでまいりたいと考えています。
 第一に、農政改革への対応です。
 米政策改革については、昨年度に政府買入などの米価下落対策や、生産調整メリットの拡充対策が措置されましたが、JAグループでは、20年産以降の計画生産を徹底するために、国や県など行政の責任と関与の強化のもとで、全都道府県・全地域において、不退転の決意をもって取り組みを強化してまいります。
 品目横断的経営安定対策については、第24回JA全国大会決議の実践に向けて、さらなる担い手づくりの取り組みを行います。特に、担い手・集落営農要件の見直しを踏まえ、小規模・高齢農家を含めた地域の実態に即した多様な担い手の制度加入に全力をあげてまいります。
 また、農地制度の見直しについては、引き続き、政府の検討を注視するとともに、JA合理化事業等による担い手への面的な農地集積に取り組んでまいります。
 第二に、WTO農業交渉に対する取り組みです。
 昨年7月に農業モダリティ議長案が提示され、9月以降、高級事務レベルによる協議が行われており、ラミーWTO事務局長は、本年2月下旬にも閣僚級の会合を開催したいとしています。モダリティのとりまとめへ向けた行程は依然不透明ではありますが、JAグループとして引き続き、政府・与党と一体となった取り組みや主張を共有するG10などの農業団体との連携を強化しつつ、幅広い国民各層への理解促進と問題意識の醸成に資する取り組みを継続して行ってまいります。
 また、日豪EPA交渉については、衆参農林水産委員会の決議を十分踏まえ、豪州側がわが国の重要品目に対して十分配慮しない場合は、交渉中断も含めた対応がなされる必要があります。JAグループとしても、わが国農業のみならず、関連産業や地域経済に甚大な影響をおよぼすものであることを、粘り強く国民各層に訴えていかなければなりません。
 さらに、地球温暖化、砂漠化、水資源の枯渇など深刻化する地球規模の課題を鑑みると、わが国の食料・農業・農村をめぐる議論は、市場原理主義に偏った視点から一方的に進めるのではなく、「国のかたち」をどうするのかといった視点で進めることが重要です。そのための国民合意形成運動を一層強化していく必要があると同時に、「農業者の相互発展と繁栄」「農業者の生活と所得の向上」という視点に立ったアジア諸国の農協間・農業者間協力を着実に実践していくことが重要です。
 第三に、JA経営のさらなる健全化に向けた対応です。
 JAがその総合事業性を発揮して農業振興と地域貢献に継続して取り組んでいくには、JA経営の健全化が重要です。このため、JA全国監査機構による独立性の高い監査や中央会による的確な経営指導を通じて、一層のJA経営の健全化をめざしてまいります。
 これらに加えて、農家経営指導など担い手支援、安全・安心な農畜産物の提供、食農教育、高齢者の生活支援、組合員組織の活性化、新たな事業方式の確立等、第24回JA全国大会決議を踏まえた諸課題につきましても、引き続き、積極的に取り組んでまいります。
 今年がJAグループにとってますます飛躍の年となるよう、私といたしましても食と農を結ぶ活力あるJAづくりの先頭にたち、これらの課題にこれまで以上に積極果敢に取り組んでいく所存です。

(2008.1.4)


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