農業協同組合新聞 JACOM
   
解説記事

組合員・利用者から愛されるJA共済をめざして



 3月16日に開催された臨時総代会でJA共済の19年度からの「3か年計画」が決定された。この3か年計画のメインスローガンは「絆の強化と仲間づくり〜愛されるJA共済をめざして〜」だ。そこでこの3か年計画のポイントを探った。

3Q訪問で絆の強化と仲間づくりを

◆次世代層とのつながりの強化など7つの主要施策

 16年度から18年度までの「3か年計画」では「No.1の安心と満足の提供のために」をスローガンに、絆の強化と仲間づくりによる磐石な事業基盤の構築組合員・利用者の一人ひとりに応じた生活保障の確立を中長期展開方向として取組みを行ってきた。しかし、必ずしも組合員・利用者の保障ニーズへの的確な対応ができていない事業量・保有契約者数の減少利用者満足度の低下など、各施策が十分な効果を発現するまでにはいたっていない。
 このため新3か年計画では、組合員・利用者および地域住民の多様な保障ニーズに対応した仕組み・サービスの提供コンプライアンスを徹底した丁寧かつ誠実な事業活動を基本方針とし、主要施策として次の7つを掲げた。
1.組合員・利用者、次世代層とのつながりの強化
2.多様化する組合員・利用者のニーズに対応した保障提供
3.組合員・利用者に対するサービス提供力・推進力の強化
4.組織活性化に向けた人材育成等の取組み
5.地域とのつながりの強化に向けた社会貢献活動の展開
6.健全性・信頼性向上への取組み強化
7.「JA・連合会の事業実施体制の再構築」の着実な実践

◆「3Q訪問活動」でコミュニケーションを強化

 計画的な訪問活動を行い、未訪問世帯の解消や訪問頻度を増やすことで、組合員・利用者とのコミュニケーションを強化する「3Q訪問活動」に取組む。 この「3Q訪問活動」は、契約者への「ありがとう(サンキュー)の気持ち」を込めた訪問活動行う。訪問時には「最近、ご家族のみなさまにはおかわりはありませんか?」「最近、ご自身やご家族の保障について気になったことはありませんか?」「現在ご加入の保障内容で、ご不明・ご心配なことはありませんか?」という「3つのQ(質問)」を必ず行うというもの。
 そして、すべての契約世帯・すべての契約者・すべての組合員(未加入者も)の「3つを訪問対象」に実施する。
 計画的に3Q訪問活動を行うことで、組合員・利用者の意見を聞いたり、ニーズに応えた仕組みの提案機会を増やすなど、コミュニケーションを深めることで組合員・利用者の満足度の向上をはかっていくとともに、世帯内未加入者の解消・「ひと・いえ・くるま」の総合保障の促進。さらに生命共済や自動車共済などを中心にして次世代・ニューパートナー対策に取組んでいく。
 次世代・ニューパートナー対策では、この層の比率が高い自動車共済、こども共済、そしてがん・医療・定期医療など医療系共済を重点的に活用し、この21年度末には、204万人のニューパートナーを獲得、医療系共済の保有契約件数を188万件、自動車共済の新契約を902万件にすることを目標としている。
 また、保障性・貯蓄性ニーズに対応した仕組みを組合員・利用者の視点にたって丁寧に説明・提案することで満期到来契約などの継続利用につなげていくことも3Q訪問活動の重要な役割の一つだといえる。

◆医療系保障の充実と分かりやすい自動車共済へ

 3Q訪問活動とともに注目されるのが、ニーズが顕在化している「生存保障分野への新仕組みの投入」と自動車共済の取組みを強化し総合保障の確立をはかることだ。あわせて「担い手の多様なニーズに対応していく」仕組みの開発にも取り組む。
 医療系共済(がん・医療・定期医療)の生命共済に占める割合は27%(件数・18年9月現在)となっているが、医療系共済へのニーズは次世代層だけではなく、健康に不安をもつことが多い中高齢者層でも高いことから、簡易な手続きで加入間口の広い中高齢者向け医療仕組みの開発に取り組んでいくことにしている。
 また、低廉な掛金で若年責任世代の保障不足を充足できる新たな万一保障特約の検討。中高齢者が加入しやすい貯蓄ニーズに対応した新たな生命共済の開発の検討などを行い、「万一保障と生存保障のバランスを重視した生命総合共済の事業拡大」をはかっていく。
 ニューパートナー獲得の柱の一つである自動車共済については、「仕組みのわかりやすさ、すすめやすさ」を追求し、「家庭用自動車共済と一般用自動車共済の位置づけを明確」にし、家庭用の保障力の強化と一般用の保障体系の整理を重点事項として取り組むことにしている。

◆担い手対応にも段階的に取り組んでいく

 担い手に向けた仕組み開発としては、担い手がこれまでにない新たなリスクに直面することが予想されることから、これに対してもJA共済としてその役割を積極的に果たしていくという認識にたって、段階的に取り組んでいくことにしている。あわせて共栄火災の保険商品を活用していく。
 当面、19年度では、農作業オペレーターや80歳を超える高齢農業者の保障提供として傷害共済の仕組改訂を予定。20年度以降については、建物更生共済(農業用施設の保障)や自動車共済、生命分野(農業法人の経営者向け保障)について検討していくことにしている。
 また、こうした保障提供とあわせて、地域農業者を取り巻くリスクについてわかりやすく説明した資材の作成・提供など情報提供にも取り組んでいく。

◆ひと・いえ・くるまで目標管理

 そして、利用者ニーズに即した保障提供活動を実践していくために、目標設定・実績管理・評価方式も見直した。
 従来は、生命系共済と建物更生共済を合わせて「長期共済」として目標・実績・評価を管理していたが、これを生命・医療系と建更に分けて管理する。さらに生命は生命共済と医療系共済を合わせて管理すると同時に、医療系共済については「件数」を目標管理指標とする。
 このことで「ひと」は、年金共済、生命、医療系共済。「いえ」は建更、「くるま」は自動車共済と自賠責共済というように保障ニーズにあわせた分かりやすいフレームができたことになる。

◆次世代リーダーなど人材の育成

 こうした事業を支えるのは「人」であり、人材育成もこの3か年計画を成功させる重要な鍵だといえる。そのため、これからのJA共済事業を担う中核的な職員を育成する共済基幹職員研修「次世代リーダー養成コース」を新設するとともに、JA役職員を対象とするセミナーなどの新たな取り組みについても検討していくことにしている。
 また、JA共済連では、既報のように、協同組合原則・事業理念と日常業務を結ぶ「私たちの道しるべ」を策定するなど、職員ひとりがその職務に責任と誇りをもち、互いに高めあうことができる職場風土をつくりだす取組みを始めていることを付記しておきたい。

◆地域との絆を強める社会貢献活動

 さらに、JA共済の総合保障の提供とあわせて、共済事業と相互に機能する福祉活動(危険の未然防止と事故後の相互扶助活動)、文化・スポーツ活動などの地域貢献活動は、地域に根ざしたJA・JA共済だからこそ実現できた活動だといえる。今後も「地域との絆の強化をはかりながら、共済事業と相互に機能する社会貢献活動を拡充」していくことにしている。
 以上、19年度からの「3か年計画」の主要なポイントをみてきたが、多様化するニーズに的確に応えた保障の提供。それを確実に組合員・利用者に伝えりなどコミュニケーションを深める3Q訪問活動、地域に密着した社会貢献活動が、厳しさを増す環境に打ち勝っていくJA共済事業の原動力だといえる。

(2007.3.23)
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