農業協同組合新聞 JACOM
   
解説記事

厳しい環境下で経営の健全性を確保
JA共済連18年度決算



■医療系共済が大きく伸長

 平成18年度は「No.1の安心と満足の提供のために」をスローガンとする16年度〜18年度の「3か年計画」の総仕上げの年度として、その実現のために精力的に事業推進に取組んだ。
 その結果、長期共済新契約高は、29兆7316億円(保障共済金額)となり、平成10年度から9年連続して全国目標を達成した。長期共済で特徴的なこととして、建物更生共済は過去最高を記録した17年実績(22兆円強)を下回った(19兆5024億円)が、生命共済は医療系共済が前年度比549.5%と大きく伸長したことで、10兆2280億円と4年ぶりに前年度実績を上回った(前年度比106.0%)ことがあげられる。
 医療系共済の伸長は、医療共済「べすとけあ」(120日型)、健康祝金支払特則付定期医療共済「がんばるけあ」など、医療保障ニーズに応える仕組を提供したことを要因としてあげることができる。
 年金共済は、年金年額で1562億円となり前年を上回る(同101.6%)実績をあげた。
 また、短期共済は共済掛金4615億円となり、前年度実績をやや下回る(同98.8%)結果となっている。
 長期共済の保有契約高は、依然として満期契約が高水準で推移していることから、17年度末より8兆6031億円減少し、351兆6814億円となった。
 推進体制では、18年度末のLA数が2万1226人となり、長期共済新契約高におけるLA実績占率は65.5%と前年度の62.5%から3ポイント伸長。LAがJA共済事業を支える中核であることがより鮮明になったといえる。

■高い水準を示す主な経営指標

 18年度決算から主な経営指標をみてみると、総資産は17年度末より5463億円増の44兆1096億円。また、運用資産は17年度末よりも5346億円増の43兆109億円となっている。
 支払余力(ソルベンシー・マージン)比率は、異常危険準備金の積立(2兆6828億円、17年度末より1912億円増)、有価証券評価差額の増加(17年度末より1316億円増)などにより、17年度よりも45.6ポイント増の885.7%と依然高い水準を確保している。
 共済事業本来の期間損益を示す指標である基礎利益は、費差益が保有契約高の減少により17年度よりも147億円減少して1532億円となったが、自然災害の減少や正味利回りの上昇、予定利率の高い契約が満期を迎えていることなどから、危険差益、利差損(逆ざやといわれるもの)が改善した。危険差益は17年度より1616億円増の7657億円。利差損は17年度より442億円改善され△4972億円となった。その結果、基礎利益は17年度より1911億円増の4216億円となった。
 また、実質的な債務超過かどうかを判定する基準である実質純資産は、17年度よりも5109億円増え、7兆4739億円となり、総資産に占める割合は16.9%で、経営の健全性を維持していることが分かる。
 なお、JA共済連では運用利回りが改善したことから、利差割戻金を引き上げ、また自然災害が少なかったことなどから建物更生共済の自然災害にかかる危険差割戻率について引き上げを行い、19年度に割り戻す割戻金は、18年度より127億円の増となっている。
 また、会員に対する配当は、出資配当比率を1.70%とし、事業分量配当金をあわせて44億円を還元する。これは17年度を4億円上回る額となる。

■「3Q訪問活動」で絆の強化と仲間づくりを

 JA組合員の減少や高齢化の進展、農家収入の減少など、JA共済の事業基盤は変化している。また、生損保業界の保険金不払い問題や今年12月の窓販全面解禁など、共済保険業界を取巻く厳しい環境変化のなかで、JA共済事業がよく健闘していることが、この決算報告書から読み取れる。
 だが、課題がないわけではない。長期共済の新契約高は9年連続して目標を達成しているが、実績額は16年度の32兆円強をピークに減少傾向にある。18年度は生存保障ニーズに応えた医療共済が大きく伸長し、「生命回帰がはじまり、4月以降も伸びている」(記者会見で今尾和実専務)が、今後もこの分野を大きく育てていくことができるのか。また、「ひと・いえ・くるま」の総合保障を支える柱の一つである自動車共済が、14年度をピークに毎年僅かずつではあるが、減少傾向にある。
 こうした課題を克服するために、野村会長が「3分野の共済種類を利用している人は、18年度で2割強です。そしてどれか1種類しか利用していない人が半分以上もいます。そういう意味でまだまだ余地はいくらでもある」と本紙で語っているように(特集「安心」と「満足」を提供し愛されるJA共済へ――JA共済3か年計画のめざすもの)、足元をしっかり固めるために「3Q訪問活動」の徹底した実践による「絆の強化と仲間づくり」によって厳しい競合に打ち勝つことを期待したい。

(2007.7.30)
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