農業協同組合新聞 JACOM
   
解説記事
食料支出が10年間で1割以上減少
食の外部化も進む
日本生協連「全国生計費調査」
 



 日本生協連は、1996年から調査協力者が1年間連続して家計を記入し提出するモニター制度による「全国生計費調査」を実施。昨年で10周年を迎えた。この調査は約1500世帯がモニター登録しており、民間では最大規模の生計費調査だといえる。
 日本生協連では、05年度単年度の調査結果とともに96年から05年までの10年間・120ヶ月分の家計簿データを「家計簿からみた私たちのくらし」としてまとめた。そのなかから主なものを紹介する。

 図1は、月平均の実収入の推移だが、05年は前年よりも5241円減少し、96年の96.8%となっている。これは60歳以上世帯の割合が増えていることと、世帯主が無職の世帯数が増えていることによるのではないかと分析している。
 また、給与所得世帯の実収入は98年をピークに減少し、05年は前年より3346円増加したが、96年の95.5%にとどまっておりかつての水準には回復していない。とくに賞与は、97年以降減少傾向が続いており、05年の賞与は96年より2割強少なくなっている。収入に占める「夫の給与・賞与」の割合は漸減傾向が続き、96年からの10年間で5ポイント減少している。
 消費支出は、97年、98年と増加するがそれ以降毎年減少し、05年は96年の92.4%・42万4052円(平均家族数は96年以来、3.7人前後で変わらない)と、10年間で最低の数字となっている。
 消費支出が減少するなかで、健康保険制度が改訂され自己負担割合が大きく引き上げられたことなどから「保健医療費」が96年より24%増えていること。携帯電話やパソコンなどIT機器が普及したことで「交通・通信費」が96年に比べ約35%も増え、消費支出の4.5%を占めるまでになっていることが特筆される。
 また、原油価格の高騰が家計を直撃していることがこの調査でも明らかになった。とくに北海道・東北地方では、灯油価格が東京などよりも安いにもかかわらず「水・光熱費」の11、12月の支出が東京の1.5倍以上の4万8936円となり、実収入に占める割合が5.2%となっている(東京は2.4%)。
 一方「食費」は、96年がもっとも高く、以後、図2のように減少し、05年は96年の89.4%に減っている。
 食費の内訳をみると「米・麦」が96年の76.7%と大きく減少していることが目立つ。年代別にみても30歳代から60歳代まですべての年代で減っており、消費量の減少もあるが、米価の低迷の影響が大きいことが見て取れる。
 また、96年と比較すると、野菜(96年対比89.4%)、果物(同79.3%)、肉(同86.2%)、乳卵類(同85.9%)、魚(同77.9%)など素材系の消費支出が減少している。その一方で、調理済みのもの、カット済みなどを含む「外食」が同110.7%と増え、食費に占める割合も13.2%となり、生協組合員でも「食の外部化」が進んできていることが分かる。
 こうした傾向に国内産地がどう対応していくのか考えなければいけない時代になっているのではないだろうか。

図1 実収入の推移

図2 食費の推移

(2006.8.7)


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