JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

シリーズ 2002コメ改革

インタビュー 米政策の問題点を検証する

インタビューを終えて


梶井功 東京農工大学名誉教授


 率直にいって、生産調整研究会の「中間とりまとめ」が示すようななかみで、これからの米政策が組み立てられるとしたら、これからの米供給は不安定になり、食料自給率の“向上を図ること”を強調している食料・農業・農村基本法下にありながら、食料自給率は低下が必然になるのではないかと心配だ。
 そしてそれは、“不測時における食料安全保障”などは農政の課題ではないとやがて宣言することになるのではないか、という危惧を持たせる。
 たとえば、“あるべき米づくりの姿が実現できれば、つまり価格が対応できれば、米の需要は増える可能性がある。または横ばいになる可能性がある”と高木理事長が語るとき、それはどういう価格水準を念頭においての話なのだろうか。飼料原料として引き取る価格水準ならまさに“需要は増える可能性がある”といえるだろう。が、飼料穀物は一番高い飼料用小麦でもトン1.8万円で輸入されている。生産費調査が示す最低生産費は北海道15ヘクタール以上層(17.7ヘクタール)の一俵12,036円だが、飼料穀物価格なみの米価では、この農家ですら赤字になる(2000年の数字)。飼料価格なみなら売れますといっても、いうところの効率的経営が生産意欲を燃やすだろうか。私は逆だと思う。
 需要拡大のために大幅な価格低下しかないという政策では本腰を入れて米づくりに励もうという人をなくすだけだとしか思えないのであるが、「中間とりまとめ」の判断はそうではない。せめて、トン20万円で米をつくっている人が、どれだけいて、どれだけの米を供給しているのか、今、米を大量を供給しているのはどういう階層の農家かぐらいは、念頭において議論してもらいたかったところだ。トン20万円以下のコストでの生産者は3%、生産量の11%、3ヘクタール以下の農家の米販売量が70%を超えるという現実に即しての論議なしには、具体的な施策はたてられないはずだからである。
 もっとも、今回の「中間とりまとめ」は方向を示したものであり、具体的な施策は農水省とJA組織――それに当然ながら与党政調会なども絡んでであろうが――で詰めることになっている。生産調整という施策のあり方を研究する研究会だったのに、方向だけというのもいかがなものか、と思うが、その点はさておき、具体的な施策は是非とも今いったような現実を踏まえて、まず絵ありき、でないやり方で詰めてほしい。山田専務のお話では、具体策を練るなかで“基本方向を見直すこともあり得る”ことを、研究会としても容認しているらしいから、そちらに期待しよう。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp