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シリーズ 2002コメ改革
米政策の再構築を考える


インタビューを終えて
梶井功 東京農工大学名誉教授


 食料の「安定供給、自給力、これはひとつの国力の源泉だと私は思っています」「食料の安定供給体制をどうつくるか、その体制は揺るぎがあってはならない」と遠藤副大臣は断言された。また、「小規模・多品種・少量生産という日本では、私は集落営農は大事だと思っております」ともいわれた。
 賛成である。是非ともこの基本的観点で“あるべき”米政策を練りあげていただくことをお願いしたい。研究会「中間取りまとめ」の米政策の論じかたには、この観点が弱い――というよりは欠如しているように私には思えてならず、「中間取りまとめ」の観点では“自給力”は低下し、“食料の安定供給体制”は大きく揺らいでしまうのでは・・・・と危惧する。農政の要に坐っている副大臣のリードが具体的な施策をこの基本的観点で組み立てることになることを期待したい。
 具体的な施策に関連して、副大臣は「やはり最低の保証基準価格を設定する。これは国としては最低負わなきゃならない責任ではないか」と指摘されたが、この指摘は岡阿彌JA全農専務の「今後は中間取りまとめで示された効果的、安定的な経営が成り立つには、どの程度の米価なのかといったことが議論される必要があると思います。そして、そのうえで望ましい米づくりを実現するにはやはり価格支持が必要なんだということになると思いますね」という意見と一致するといっていいだろう。
 効率的経営を世界に誇っているアメリカの大経営にすら、作付制限などの条件なしに一定の目標価格が保証されていることを考えれば、経営安定には如何なる施策が必要か、明白だと私は思う。それは農家の皆さんもひとしく考え、望んでいることだろう。
 市場からのメッセージを明確に伝えないシステムとして研究会が問題にした委託販売、共同計算について、専務は、「生産現場では、差別化を図りながら米産地として持続させようという努力が行われてきていますから、それに応えるような事業方式を考える必要がある」し、すでに全農安心システム米として始まっていることを紹介しながら、「買い取り方式にすれば・・・・変動の激しい世界になる」ことを指摘される。私もそう思う。中間取りまとめは「資本主義下での一つのパターン」を示したに過ぎないと専務はいわれたが、その観念論を具体的施策を詰める過程で打破してほしいものである。




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