農業協同組合新聞 JACOM
   

シリーズ 全農マークは信頼の証

第4回 イズミヤ(株)
「ええもん安い」の追求を基本
産地への提案で消費者ニーズに応える
JA全農との連携で安全・安心、良食味を実現

 関西を中心に88店舗(16年7月現在)のスーパーマーケットを展開するイズミヤ(株)の経営理念は「ええもん安い」の追求だ。「ええもん」とは安全で安心、そして高品質な商品。それを顧客が価格とくらべて「食べて満足」「これは値打ちだ」の2つを認めたとき、「安い」が実現される、というのがこのキャッチフレーズの真意である。価格が先にあるわけではなく、あくまでも品質を最優先して提供する姿勢を貫いている。同社の農産物販売方針とJA全農との連携による商品開発への取り組みなどを農産部の大石隆法部長に聞いた。

■だれが「値打ち」と認めるのか

大石隆法 イズミヤ(株)食品商品部農産部長
大石隆法 イズミヤ(株)食品商品部農産部長

 「たとえば、一個100円と150円のリンゴが並んでいるとしますね。価格だけくらべれば100円のほうが安いわけですが、150円のリンゴは大きく蜜も入っていて食べてうまい。そこで、お客様は150円のリンゴのほうが「値打ちだな」と「満足」されて、また食べたいな、と思っていただいたとします。これが私たちが追求している“ええもん安い”ということなのです」。
 大石隆法部長は、同社の経営理念「ええもん安い」についてこう話す。熾烈な価格競争を繰り広げる量販店、などという話に馴らされてしまっていると、このフレーズの「安い」という言葉にどうしても目が行くが、実は同社が重視している条件の第一は安全・安心、そして高品質である。
 「それらに加えてとくに食品は鮮度とおいしさです」。
 さらに商品だけでなく、接客サービスや設備の充実も重視。価格も大切だが、それよりも接客サービスや設備が大切だという。商品選択の際の価格の優先順位は時代のなかで変化してきたが、同社はそうした変化よりもまず提供すべきことは「ええもん」、すなわち「良品」「満足」であることをもっとも重要な基軸として打ち出しているのである。
 「品質、サービスなどを通じてお客様に満足していただくこと。これが第一だということです」。
 では、これは値打ちの品だ、と決めるのは誰か。同社では1人の担当バイヤーが単独で仕入れ商品を決めるのではなく全員での徹底した議論のもとに決めている。たとえば、みかんであればバイヤー全員で仕入れ候補となったものを試食して検討していく。バイヤーだけではなく、月に1回開く全店農産部門研究会などの各部門の研究会でも試食の機会をつくってさらに意見交換していくという。
 しかしながら、仕入れることになった商品が必ずしも売れ行きがいいわけではないこともある。
 「販売のタイミング、売り場づくり、規格、量目などさまざまな原因はあるのでしょうが、結局、売れなければニーズに合致していなかった、と捉えるようにしている。社内にはこんなたとえ話が浸透しています。魚のエサは釣り人が決めるのではない。魚が決めるのだ、と」。
 大石部長は消費者の視点に立つことの重要性と難しさをこう強調する。

■提案型の商品づくりを重視

 こうした姿勢のもとで、同社が重視して取り組んでいるのは産地への消費者ニーズを伝える提案型の商品開発だ。
 JAとJA全農に栽培基準や品質、収穫後の商品管理などについて商品ごとの仕入れ基準を設定し、それをクリアしたものを店頭で販売することに力を入れてきた。こうした取り組みを背景に4年前に打ち出されたのがプライベートブランド「good-i」(グッド・アイ)だ。
 「i(アイ)」は、社名の頭文字を意味するだけでなく、価値あるものをより安く提供できるアイデア、人と地球環境への配慮=愛、そして顧客の視点(eye)など同社が重視する価値への思いを込めている。ブランド認定するための「ええもん安い会議」も設置した。この会議で、商品に関する品質・鮮度、味、規格、値頃など必要なことすべてを徹底的に議論、確認し、「ええもん安い」の決定を行っている。
 JAグループが生産を担っているこの「good-i」商品はいくつもあるが、最近評判がよく消費者の支持を集めているのが和歌山県産の有田みかんだという。
 年に数回、ほ場に出向き生産者とコミュニケーションを図っているほか、生産者にも店頭に立ってもらって消費者とふれあってもらっている。生産、販売ともに市場ニーズを共有することをこころがけている。
 生産者には糖度や食味を高めるなどの栽培技術の向上を求めるが、同時に重視しているのが商品管理。産地から店頭に並ぶまでの時間管理、温度管理など一貫した仕組みをつくり味と鮮度で消費者の支持を得ている。店頭を生産者が訪ねることによって、農産物が消費者に手に渡るまでのこうしたシステムの大切さも産地側に伝わっていく。
 「商品が大切に扱われるシステムがあるからこそ、イズミヤの野菜や果物は“おいしいね”“日持ちがするね”という声になって私たちに届くのだと考えています」。
 産地と店頭を結ぶビジネスの核になっているのがJA全農大阪青果センターだ。大石部長ら同社のスタッフもここから提案型商品開発のアイデアを発信している。
 「これは取引会議ではなく、私たちは取り組み会議といっています。将来にわたってどんな農産物を提供していくか、全農様とともに徹底的に議論する場です」。
 一方で同センターにて店の販売担当者向けに年間数回に及ぶ勉強会を受けるようにしている。同センターや全農大消費地販売推進部の職員らから全農安心システムをはじめとするJAグループの農産物生産、流通についての取り組みについての説明を受け生産現場への理解を深めるようにしているという。
 「社員の意識が変わってきましたね。いちばんの変化は、農産物は価格も大切だけれども価格以上のものがある、ということへの理解が店頭に立つ販売担当者にも広まったことです」。
 大石部長はこうした全農の生産システムはもっと消費者に支持されるはずとの考えから「安心システムの品目を拡大しさらに認知されるように努力してほしい」と期待する。
 
■変化を先取りするための連携

 大石部長は同社の店舗について「冷蔵庫代わりに利用されること」をめざしているという。実際に、1日に1回の買い物ではなく2回訪れるお客さんもいる。
 ただし、消費者の食生活の変化は激しい。もっとも大きな変化が購入量である。たとえば、この11月のデータでは葉ものはいずれも「半束」が6割近くを占めた。ネギも一本買いが5割を超え大根も半分にカットしたものが半分近くを占めた。
 「量だけではなく、たとえば、スイカは生ゴミ収集日の前日の売れ行きが非常に大きくなってきている。だから皮のないスイカを、という声も出てきてそれに応えなければなりません。こうした傾向は一層強まるでしょう」。
 そうするとバックヤードでのカットとパック詰めなど加工の作業が増える。「品目によっては全農大阪青果センター様にお願いしています」。
 同時に環境問題への取り組みとして食品を売るだけではなく、ISO14001を取得して環境方針を基軸にし、継続的な改善に積極的な取り組みをしているほか、配送車両の削減、積極的なコンテナの活用などのエコ物流、再生トレイの使用やバラ売り、盛り売りによる省エネ省資源などにJA全農と積極的に取り組んでいる。また、生ゴミ処理機の設置やリサイクル回収ボックスの設置などにも取り組んでいる。
 こうした事業全体を通じて地域の人々の健康で楽しい、豊かな生活づくりに貢献しようしている。そのパートナーとなっているのがJA全農だ。
 「JA全農様との連携は変化に対応するというよりも、変化を先取りするため。消費者ニーズに対応するための提案型商品開発に取り組み、商品を通じて産地から売り場(お客様)まで一本化した事業展開を今後も図っていきたいと考えています」と大石部長は話している。

(2004.12.22)


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