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自著を語る  フリージャーナリスト 鈴木俊彦
地域風土の探求

 各地の県民性リサーチと各界著名士のエピソード

 『地域風土の探求』

      鈴木俊彦 著  258ページ、\1,800、農林統計協会

 (すずき としひこ)1933年静岡県生まれ。早稲田大学法学部卒業。57年家の光協会入会、58〜60年全中広報局出向、67〜70年大阪支所編集駐在員として東海近畿版を担当、出版部編集長、『地上』編集長、編集委員室長、電波報道部長等を歴任。93年退職後フリーライター。日本ペンクラブ、農政ジャーナリストの会、協同組合懇話会、野球文化学会の各会員。主な著書は『農と風土と作家たち』(角川書店)、『協同人物伝』(全国協同出版)、『JA生き生き戦略』(同)など。

 この度、農林統計協会より拙著『地域風土の探求』を刊行した。この本は3部構成だが、メインは第1部の「列島縦断県民性リサーチ」である。県民性に私がこだわり始めたのは、実は40数年前の学生時代である。下宿の隣室に島根県安来市出身の下級生2人が入ってきたが、彼ら同士で語る会話の中味が全く判らなかった。外国人同士の会話に聞こえた。さらに家の光協会に就職して青森県の田舎館村に出張したのだが、村の古老の話が全然意味不明で農協の若手職員に“通訳”して貰った。のちに秋田県皆瀬村でも同様の体験をした。
 日本列島の不可思議さというのか、山と谷の多い地理的要因かつ、谷ごと、集落ごとの文化風習の相違に突き当たっていく。言葉だけでなく思想も気質も各地方によって大いに異なる。その事が気になりだして、『家の光』の編集デスク当時、心理学者の宮城音弥氏と文化人類学者の祖父江孝男氏との「県民性を語る」対談を企画し司会をした。お二方とも県民性に関する興味深い著作を書いておられたからである。
 幸い拙著は、系統のJAマン及びOB諸氏からも、“思い当たるフシがある”との読後感を頂き始めている。とくに「全国連の会議などでお国ぶりの違いに興味を覚えていた」と言われる人が多い。JA運動は全国的な組織活動だから、確かにJAマンは県民性の相違に突き当たる場面を大なり小なり経験しておられるようだ。
 この本の第2部は革新運動と農政、商系資本と農協、野球と農業というようにX軸とY軸をクロスさせた論考を収めてみた。
 第3部は、主として協同組合文化交流誌『虹』に掲載された編集稼業こぼれ話を集めたものである。これは永年にわたり『家の光』や『地上』の編集・普及業務に挺身された先輩・同僚から利子配当を頂いたようなもので、『虹』誌からのご支援もあって陽の目を見た原稿ばかりである。お陰で農業界の重鎮、芸能スター、名力士などのエピソードを数多く取材することができた。さらに「全農のページ」や農林中金提供のパブリシティ「心に残るふるさとの味」の裏話も収めさせていただいた。広く系統の諸先輩にもこの場をお借りして感謝申しあげたい。



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