農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

人をつなぐのんびりサイクリング


 ゴールデンウイークの休みを利用して、つくばりんりんロードというサイクリング専用道路でサイクリングを楽しみました。この道路は、旧筑波鉄道の線路跡だったのを自転車コースにしてしまったもので、JR常磐線土浦駅から、筑波山駅や真壁駅跡を経由、JR水戸線岩瀬駅に至る約40kmの道のりです。途中、かつて駅のホームだったところが休憩所になっており、サイクリングを楽しむ人たちばかりでなく、地元の人たちの集会場所になっていました。鉄道の線路跡だけあってアップダウンが少ないので、風さえ吹かなければ初心者でも楽しめるコースです。
 常磐線土浦駅をスタートし、5-6kmも走ると市街地を抜け、水田地帯が広がります。筑波山のふもとはおいしい米がとれる米どころで、ゴールデンウイークのころは田植えの最盛期でした。途中すれ違った農家さんは皆さんご高齢で、普段は農業をなさっていない様子のお子さん夫婦やお孫さんも手伝って賑やかに作業なさっている姿がサイクリング道路からも見て取れました。
 土浦駅から10km弱のところにある藤沢駅跡休憩所を過ぎると名峰筑波山が右手に見え始め、距離を稼ぐにつれてそれが正面に移り、ぐんぐん大きく見えてくるようになります。途中、筑波山に向かう車の渋滞にそって走るのですが、ノロノロしか進まない車列を尻目に自転車でスイスイ進むのは気持ちのいいものです。好天と追い風も手伝って自転車はぐんぐん進み、ものの一時間も走ると筑波山駅の休憩所に到着しました。ここまで20kmほど走った計算になります。
 つくばりんりんロードを走っていて気がついたのは、地元の中学生やお年寄りなど、自動車の運転をしない人たちが、この道路を生活道路として利用しているということでした。地元の中学生らしい一団とすれ違うと、「こんにちは!」と元気に挨拶をしてくれました。幼稚園生ぐらいのお孫さんにつきあっている年配の方ともすれ違いました。駅跡の休憩所はゲートボール場に通うお年寄りたちのたまり場になっていました。こうした地元の方たちの息遣いが聞こえてくると、私のようなサイクリング目的の利用者も安心して利用できます。鉄道の線路跡を利用するというアイデアが効を奏したと言えるでしょう。
 採算が取れなくなって廃線となった旧筑波鉄道ですが、人と人をつなぐ道として見事によみがえりました。車の往来が激しく、満足に歩けない道路がたくさんあります。道端で立ち話をしているとダンプカーから排気ガスを吹きかけられたこともあります。信号がなければ横断歩道でさえ車は止まってくれません。何かに追い立てられるようにスピードばかりを追いかける今の世の中にあって、ゆっくりとした時間の流れを見直すべき時に来ているのかもしれません。(花ちゃん)
(2005.7.20)


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