農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

空前の犬ブームに思う


 世の中は空前の犬ブームと言われています。既に定番になったミニチュアダックスフント、テレビコマーシャルで人気に拍車の掛かったチワワ、まるでぬいぐるみのようなトイプードルなど、ペットショップには人気犬種の子犬たちが売られています。子犬の値段は人気と供給量で決まるようで、ミニチュアダックスフントは、2、3年前は20万円くらいだったのが、今では10万円台前半くらいまで下がってきています。一方、トイプードルは毛色によって値段が大きく違いますが、30万円を超えるものもざらにあるようです。
 我が家でも、犬を飼うかどうか度々検討しましたが、いまだに踏み切れていません。犬を飼うとなると毎日の散歩から始まって、健康管理まで結構な労力と費用がかかることとが踏み切れない理由になっています。それにマンションで飼うとなると、隣近所への迷惑が掛かるのではないかという心配もあります。もし犬を飼うのであれば中型犬か大型犬が良いと思っているので、「まずは犬がのびのびと走り回れる環境を手に入れなきゃいけないな」などと考えを巡らせているだけでも結構楽しめるので、当分はこのままでしょう。

 以前イギリスで一ヵ月ほどホームステイした時、ホームステイ先のご主人と犬の付き合い方を見ていて、日本人は犬との付き合い方があまり上手ではないなと思いました。イギリスでは、主人と犬の関係は極めてはっきりしていて、犬達は実によくしつけられています。散歩中もご主人の横にぴったりと寄り添うように歩いていますし、他の犬とすれ違っても吠えかかったりしません。犬がルールに外れたことをした場合には飼い主はきちんと叱ります。その様子は爽やかですらあり、社会の成熟度の高さを感じます。
 日本ではどうでしょうか。犬がルールに外れたことをしても叱るどころか、「この子はまだよく分からないから」などとかばっています。それどころか、散歩中の糞の始末も出来ないような飼い主さえいます。ブームにのって犬を飼ってみたものの、ちゃんとしつけられずに放任されている犬のなんと多いことでしょう。犬が人に噛み付いたり他の犬に吠えかかったりするのは、きちんとしつけられていないからです。
 これは犬の問題ではなく、人間の問題なのです。犬をしつける技術を誰かが教えなければ、犬のしつけができるわけがありません。それだけではダメで、飼い主自身が社会のルールをきちんと守る姿勢を身につけていなければならないと思います。
 日本人がちゃんとしつけられなくなったのは犬だけではありません。子供達を「猫かわいがり」する社会は、社会に適応できない子供や、きれやすい子供を生み出しています。しつける側の大人の責任を強く感じます。犬ブームを単なるブームで終わらせないためにも、犬を飼うということで飼い主自身が成長するという、いい循環が生まれることを願っています。(花ちゃん)

(2005.8.3)


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