農業協同組合新聞 JACOM
   

コラム
砂時計
わが国の景気回復と躍進する中国経済

 わが国の景気は回復に向かいつつあるとの認識がひろまっています。これが本格化するかどうかは、銀行の“不良債権”処理が順調に進むことと、従来、蔓延してきた“デフレ気分”を払拭できるかどうかが鍵だと思います。後者との関連では、“日経商品指数”が上昇してきており、先月末現在では、98年3月以来5年10ケ月ぶりの高水準に達したと報じられました。もっとも、内需に力強さが不足しているので、原料価格が上昇しても製品価格に転嫁が難しく、その結果、企業業績が悪化し、景気の足がまた引っ張られる可能性もあります。
 しかしながら、原料価格は、国際的な需給関係の反映ですから、時間差は多少あっても徐々に製品価格に反映されざるをえないと私は考えます。国際価格が高騰した背景には、農産物のように世界的な異常気象による減産(供給減)の影響もありますが、鋼材価格などは、米国(人口 2.9億人/名目GDP 1306兆円)や中国(13億人/158兆円)などからの旺盛な買い付け(需要増)のために上昇が続いているのです。
 特に、中国経済は、すさまじい勢いで“騰飛”(トンフエイ)、即ち、躍進を続けており、世界でもずば抜けて高い成長率を維持しています。昨年の経済成長率は、速報値では、9.1%に達した模様です。今後も北京オリンピック(2008年)や上海万博(2010年)が控えているし、大型プロジェクト(三峡ダム、西部大開発、新幹線など)も目白押しです。中国経済にもバブルの発生等“落とし穴”はいくつもありますが、順調に行けば、2050年までには、GDPでアメリカを抜いて世界の首位に躍り出るという予測もあります。
 現在、中国は、“世界の工場”として“売り手”の顔が前面にでていますが、生活水準が向上するにつれて、徐々に巨大な“消費市場”すなわち“買い手”としての存在感を世界に示すことになると思います。中国の“騰飛”の影響は、大津波のようにわが国にも押し寄せてきます。日本(1.3億人/498兆円)が、これにどう対処するかは長期にわたり大きな課題ですが、中国とは地政学上も、共存共栄する以外に選択肢はないと考えるべきでしょう。
 先月末、発表された貿易統計速報によると、わが国の中国向け輸出は、昨年6兆6000億円となり、前年比で33.2%の急増となりました。他方、輸入は、13%増加して8兆7000億円でした。従って、中国貿易だけ見れば2兆円の赤字(前年比では24%の減少)でしたが、わが国の貿易全体では、輸出が54兆5千億円、輸入が44兆3千億円となり、黒字巾は3年ぶりで10兆円を超えました。
 わが国の景気回復は活発な貿易によって支えられたのです。また、この貿易は、投資活動によっても支えられています。企業の中国への進出は、日本から“資本”と“生産設備・生産技術”をもって行き、現地の豊富な土地や労働力を活用して生産した製品をまた日本にもってくる“開発輸入”をするからです。中国経済が成長するにつれて、従来の開発輸入型は、“現地販売型”の投資に移行しています。中国の対日外交は、広大な中国国内の政治的矛盾や不満をかわすためのスケープゴートに、時々されてきた印象もなしとしませんが、経済が政治に邪魔されることなく、日中がそれぞれの得意分野を棲み分けてゆけばこれからも双方にとって計り知れないプラスになるでしょう。 (譲二) (2004.2.13)


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