農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 JA全青協創立50周年記念特集

JA全青協 三上一正会長に聞く

農を原点に新たなスタート
地域活動を基盤に結束力を高める


 結成50年を迎えたJA全青協。今年の全国大会では「新たなスタートラインに立ち議論と実践を自己発信(発進)する」という理念のもとに「今こそ出発だ」という意気込みを宣言した。三上一正会長は「われわれの原点は農」と強調。農業の担い手としての活動の重要性を改めて訴えている。
JA全青協 三上一正会長
JA全青協 三上一正会長

−−創立50周年を迎えて改めてJA全青協の活動についてどうお考えになっていますか。

 創立50周年記念式典には盟友たちが快く食材を提供してくれました。盟友の情熱、協同の力を改めて感じましたね。歴代委員長の話からも結束力の強さや当時の思いが今の青年部に十分伝わったと思います。
 私の世代は米価運動を知らない世代で、地元で本格的に青年部活動を始めたころは米の輸入自由化が決まるころでどちらかといえば衰退ぎみでした。しかし、ずっと活動を続けてきて思うのは全国の盟友たちの農業への思いが非常に強いということです。
 ただ、目標が見えにくい時代であり、新たな目標をどう見つけ出すかが課題です。JA青年部活動を再認識するためにも綱領の改定に取り組んでいるところです。
 具体的にはやはり地域活動からだと思います。先輩たちもそうだったように地域がスタート地点です。自分たちが農業という仕事を通じて地域をどう盛りあげていくか、それが青年部の活性化にもつながると思います。そのための仲間づくり、交流、情報収集です。私たちは農業者ですから農をどう振興していくかだと思います。

■農の未来に悲観しない

−−農が活動の原点だということですね。

 情勢の厳しさはみな認識していると思いますが、一方で農業の未来はそう悲観したものではないのではないか。食べ物を作っていることはやはり強い。人間は必ず食べるわけですから。われわれの仕事が自給率の向上や農地の保全、食と命を守ることにつながっていく。そこに国民が気づけば農業にも光が見えてくる。
 JA全青協の役割はそこにあって、現場から担い手の声を作り出して発信していくことだと思う。

■実践のなかから生み出す政策提案

−−政策提案についてはどう考えますか。

 いつの時代も若者が改革の中心になってきたと思いますから、政策提案も重要です。ですが、現場でどういう農業をつくるのかはわれわれが考えなければならない。政策に魂を入れるのが青年農業者だし、逆に言えば自分たちの実践のなかに政策提案が出てくるということだと考えています。

■自分たちのJAだという意識

−−盟友は将来のJAの担い手でもあります。JA改革についてはどう考えますか

 JAグループというのは非常に力を持った組織だと実感します。農産物の産地リレーにしても、政策提言にしても、国際交渉での他国への働きかけにしてもJAグループだからこそできる。今後は外国との競争が厳しくなるが、日本農業の中枢を担っているのがJAグループだと思います。その持っている力を最大限に出してほしい。もっと一致結束すべきだし、そのためのJA改革だと思います。
 ただ、組合員には、受け身で捉える人もいます。やはり自分たちがJAをつくっていると考えるべきだと思うし、JAも組合員のために何ができるかをまず考えるべき。
 ただ、改革の方向をペーパーとしてまとめるだけではなく、役職員の方々にはもう一歩踏み出す行動を求めたい。ちょっとやそっとでは負けないというJAグループの力を発揮してほしい。

■世界の農業者との連携も

−−青年部として盟友の拡大による組織基盤の強化も求められています。

 部員数の減少は農村に若者が少なくなったのが原因。農業を産業としてもう一度位置づけることができ農業で生活が成り立てば後継者もできるはず。組織の基盤は農業ですからそこをわれわれもきちんと押さえることが基本だと思います。
 一昨年はパリの青年農業者大会に出席したり、国際農業生産者連盟(IFAP)の総会にも出て世界の農業者と話し合う機会に恵まれました。
 そこで感じたのは世界はもっと協調すべきだということでした。農産物の輸出国であっても家族農業を重視している国もある。飢餓に苦しむ人のことを考えれば、お金もうけの、輸出のための農業ではなく世界の食料事情を考える貿易ルールが必要だと思う。
 世界の農業者の大会では家族農業の大切さと飢餓の撲滅を訴えたところ、賛同を得られました。経済問題が絡んで複雑にはなっているが、農業者の考えは日本だけが特別ではなくみな同じだと思いましたね。

−そういう問題を消費者に理解してもらうこと重要ですね。

  具体的な活動としてはなかなか難しい面もありますが、改めて考えたいのは、とくにアジアでは食は文化の元になっていることです。日本の祭りは考えてみれば農と食の祭り。そういう日本をきちんと見る必要がある。自分たちの歴史、文化の原点が農村にある。農村が唯一文化を守っている。それが社会の安定につながっているのだと思います。

−−ご活躍を期待します。

 

(2005.2.17)


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