農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 絆の強化と仲間づくりで活きいきとした地域づくりを

インタビュー

地域の信頼を勝ち取るために
確固とした経営基盤の確立を

JA共済連経営管理委員会 野村弘会長に聞く
インタビュアー 白石正彦 東京農業大学教授



 「絆の強化と仲間づくり」をテーマに進められてきているJA共済「中期3か年計画」の今年は最終年度となるが、現在のJA共済事業を巡る状況、そして国が大きく政策転換した農業・農村の状況をどうとらえ考えているのか。さらに、これからの協同組合としての共済事業はどうあるべきなのかなどについて、昨年7月に就任した野村弘JA共済連経営管理委員会会長に忌憚なく話していただいた。聞き手は、日本協同組合学会の会長も経験されたことがある白石正彦東京農業大学教授にお願いした。



大きく様変わりする
農村を守るのは農協の使命

◆8年連続して目標達成したが、課題もまだ多い

のむら・ひろし 昭和11年生れ。平成5年岡崎市農協組合長、11年あいち三河農協組合長、愛知県農協各連合会会長、12年愛知県本部運営委員会会長、14年愛知県各連合会経営管理委員会会長、17年JA共済連会長。
のむら・ひろし  昭和11年生れ。 平成5年岡崎市農協組合長、11年あいち三河農協組合長、愛知県農協各連合会会長、12年愛知県本部運営委員会会長、14年愛知県各連合会経営管理委員会会長、17年JA共済連会長。

 ――昨年7月にJA共済連の経営管理委員会会長に就任され10ヶ月が経過しました。また今年10月には第24回JA全国大会が開催される節目にあたる年でもあります。そうしたなかで、取り巻く環境は、金融、共済も含めて競争が激化し厳しくなってきています。しかし、社会の動きをみると、競争だけではなくて、もっと人間的な温かみをもった、たとえば地産地消運動や高齢者福祉のボランティア活動とか食農教育など、新しい協同活動も強まっています。私は、農協の共済事業は人間的な温かみをもった協同の営みの延長のなかで、独自性や競争力を発揮すべきではないかと思います。
 さらに、17年度は長期共済新契約が連続して目標を達成されましたが、そうしたことを含めて、現在の状況をどうお考えでしょうか。
 野村 長期共済の新契約が31兆9593億円、目標達成率108.6%と8年連続して目標を達成したことは、JAの役職員のみなさんのご努力の賜物だと思います。
 しかし、一方で長期共済の保有高は減少しています。JA共済は「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供していますが、「いえ」については、社会的に高く評価されている建物更生共済が、最近数年に頻発した自然災害によってさらに保障ニーズが強く喚起されたこともあって昨年度に引き続き大きく伸びていますが、「ひと」に関わる生命共済の割合が下がっていますし、「くるま」についても必ずしも満足がいくものではありませんでした。したがって、17年度決算はいままでに比べると厳しいものになるのかなと思っています。
 ――17年度も自然災害による支払共済金が多かったようですね。
 野村 JA共済は、相互扶助精神による事業ですから、不幸にも自然災害に遭われた方々に共済金をお支払し、お役に立つことができたことは、共済の本来の目的に適うものですし、そういう意味で嬉しいことだと思います。

◆日本文化を支える地域社会を守る中心に農協が

しらいし・まさひこ 九州大学大学院修了。農学博士。東京農業大学国際食料情報学部教授。平成5〜7年ICA新協同組合原則検討委員会委員、平成10年ドイツ・マーブルク大学経済学部客員教授、日本協同組合学会前会長。
しらいし・まさひこ  九州大学大学院修了。農学博士。 東京農業大学国際食料情報学部教授。平成5〜7年ICA新協同組合原則検討委員会委員、平成10年ドイツ・マーブルク大学経済学部客員教授、日本協同組合学会前会長。

 ――農業・農村を巡る環境についてはどうでしょうか。
 野村 組合員・利用者への利益の還元ということもありますが、日本あるいは地域社会の文化である鎮守の森のお祭りなど伝統ある祭事は、農村の農業者を中心にして長年維持されているわけです。こうした日本の文化は、農家が減少すればどんどんなくなっていきます。そうしたことにもっと目を向けなければいけないと思いますね。
 高齢化が進み後継者がいないなど、農業・農村そして組合員が大変な勢いで様変わりしてきています。
 そうしたなかで、農業の必要性についてはそれなりに認識されてきていると思いますが、日本文化の基盤でもある農村を守るために農協がその中心となった取り組みをするべきだと思います。そのために私たちは何をすべきなのか。そこに協同組合の原点があると思います。
 ――そのためには、それができる経営基盤をつくらなくてはいけませんね。
 野村 農協は本来、弱者が集まり協同の力で共に助け合っていこうという組織ですが、JAが確固たる経営基盤を持たなければ農村を守る取り組みも行えないと思いますね。
 しかし、農協の経営基盤を確立するために収益をあげることは重要ですが、事業運動のなかで自己の収益を追求することだけを考えて、他に迷惑をかけてはいけないし、迷惑をかけるような収益の追求は、共に助け合っていこうという協同組合としては、絶対に許されないことだと考えています。

◆確固たる経営基盤確立で、農協への信頼を獲得する

 ――その通りですね。そしていま、全国の多くの農協では共済事業が事業の大きな柱の一つとなっていますね。
 野村 その柱である共済事業を、いかにして農家組合員や地域の方々に分かりやすく利用してもらうような手段を講じるかが、これからの勝負ではないかという気がしています。
 購買事業なら目に見えるモノを「購入しませんか」といえますが、共済事業の場合は目に見えない商品を供給するわけですから、「農協なら間違いない」と思ってもらえるような信頼が必要です。
 そのためには、JAがキチンと経営して、シッカリした財務体質に支えられた経営基盤を築かなければいけないと思います。なかには「利用者に還元を」という意見もあります。しかし、私は「みなさんの貴重な財産を財務体質がシッカリしていないところに預けられますか」といいたいですね。農協に任せれば大丈夫だという信頼を得るためには、JAの経営基盤がシッカリしていなければいけないと思います。

地域での信頼を得るために
何をしなければならないか

◆地域を土台にした目的別グループの活動が

 ――農業・農村の構造がかなり変化してきているというお話がありましたが、変われば変わるほど、農協が軸になって多様な組合員を結集していくことが大事ですね。
 野村 その通りです。そして、地域によって違いはあると思いますが、農業を推進するだけでなく、農村を守るのが農協の使命ではないかと思います。担い手を中心とした施策がこれから進められます。それには対応していきますが、それよりも、親が子どもを殺したり、子どもが親を殺すような事件が農村でも起きています。かつては、出かけるときに家に鍵を掛けませんでしたが、今はそんなことはできません。このような問題に対して、地域社会がどうのように取り組んでいくのかが重要だと思いますね。
 ――そういう意味では、農協運動も地域を土台にした階層別や介護、料理などの目的別グループの活動が大事だと思いますね。
 野村 そういうグループをたくさんつくるべきでしょうね。女性部の部員がいなくなったという農協もあるようですが、女性たちが主体的に活動しているところでは輪が広がっていますね。みんなボランティア精神を持っており、介護や福祉活動に携わりたい人はいますから、その人たちに自主的に活動してもらい、農協はそれを側面からサポートすることが重要だと思います。それを押し付けると嫌になってやめてしまうわけです。

◆契約者の立場に立った迅速・的確な対応が評価された

 ――話は変わりますが、昨年12月から今年の2月にかけて発生した「平成18年豪雪」では、相当な共済金支払があったようですね。
 野村 豪雪にともなう建物更生共済の支払件数は、1万9964件で、支払共済金は76億6106万円です。これは4月19日現在の集計ですが、東北や北陸地方では、まだ雪解けが進んでいない地域もあり、現在も損害調査を継続していますので、支払共済金はさらに増える見込みです。
 ――いままで一番多いんですか。
 野村 雪害による支払額としては、平成10年1月のときが68億9128万円でしたから、それを上回る過去最高の支払共済金ですね。
 また、一昨年の新潟県中越地震にともなう対応が良かったということで、新潟県の小千谷市長から「『感謝の会』を開くから」と招待されました。地震の被災者の方々から「JA共済に入っていて本当に助かった。ありがたかった。だから、来てくれ」といってもらえること、そして共済金を支払って喜んでもらえることは嬉しいですね。これが本当の相互扶助精神による共済事業だと思いますね。みなさんがJA共済を信頼し、契約していてくれたからお支払いできたわけです。そして私たちは、相互扶助の精神で、契約者が困っているときには迅速な対応をするという考えを優先して対応したわけです。
 ――地元ですからJAの職員との面識もあるし、すぐにサポートできるわけですからね。
 野村 いち早く現場に行ったこととか、全国の査定員を送り込んで、契約者の立場に立って迅速に査定をして、共済金を支払うことを前提にして対応したことが評価されたわけです。何事か不幸があったときに、間をおかずにサッと行くことは大事なことですね。だから、これからも農協らしさを発揮した仕事ができるように、さらに努力をしていかなければいけないと本当に思いましたね。

◆保障提供と福祉活動は車の両輪

 ――幼児を対象にした交通安全ミュージカルや高齢者向けの交通安全教室等の交通事故防止や交通安全教育の取り組みが表彰され、また介助犬の育成と普及の取り組み等を行っていますが、こうした社会貢献活動についても積極的に取り組まれていますね。
 野村 JA共済は50余年の歴史がありますが、これまで組合員や地域のみなさんに支えられながら、国内の共済・保険事業としては屈指の事業規模を確保するまでに成長することができました。
 保障を提供する共済事業と、事故を未然に防止する活動や事故後の相互扶助活動などの福祉活動は、車の両輪の関係にあるといえるわけです。そして、この共済事業と福祉活動の二つが、相互に機能することによって「ひと・いえ・くるま」の低価格で優れた保障の提供を実現しているわけです。
 ですから、これからもこうした活動によって、危険の低減をはかりながら、組合員や地域のみなさんが、住み慣れた地域で、健康で安心して暮らせる豊かな環境づくりに貢献していきたいと考えています。

これからはLA中心の推進の
時代だといえる

◆協同組合らしさと専門性をもつLAが推進の主体に

 ――JA共済の推進ではLAの役割が大きくなっています。さきほどの地震の話でも、LAのみなさんの取り組みも評価されていると思います。今後、JA共済事業をさらに伸展させていくためには、協同組合らしさと専門性の両面を重視したLAやJA共済担当職員の人材育成が課題ではないかと思いますが、いかがですか。
 野村 共済・保険の仕組みはますます複雑になってきていますし、コンプライアンスが重視される社会になってきましたから、これからは、LAを中心とした推進をしないとトラブルのもとになると思いますね。
 通販とかで保険商品を売っている会社もありますが、JA共済の場合は、JAの職員一人ひとりが組合員や地域の人の家に出向いてJA共済を勧めるわけですから、言った言わないという問題が起きる可能性があります。ですから言葉遣いから提案や契約の仕方までキチンと教育された専門的な知識をもった職員に担当させないといけないわけです。
 これからの時代は、利用者の立場に立った問題提起型というか、生活提案型の推進でないと受け入れられなくなると思いますね。。
 ――それが顧客満足にもつながりますね。
 野村 いま全国的にみると、LAのレベルの高いところは元気がいいですね。愛知県の場合には、全体の契約の85%くらいがLAによるものです。

◆大事なことはLAを育てる職場風土をつくること

 ――人材育成で印象に残るようなことはありますか。
 野村 かつてこういう経験をしたことがあります。自動車共済の窓口で担当者研修会でロールプレイングを行った際に、後ろで泣いている人がいるんですよ。誰かと思って見てみたら農協の共済課長が「よくやった」と感激して涙を流しているんですよ。そうした関係が大事なんですね。その農協では、この課長時代にLAの業績が大きくと伸びたそうです。
 ――そういう職場風土が一番大事なんですね。そして、経営のトップや幹部職員のサポートが大事だと思いますね。
 野村 しかし、全体的にみたLAの水準は、まだまだ十分ではないと思います。
 ――レベルを上げるためのJA共済連としての支援体制や支援活動は、どのようにされているのでしょうか。
 野村 さまざまな研修会で講師となる「LAインストラクター」や、LAに対し同行支援や情報提供をする「JA共済トレーナー」の育成とそのレベルアップに取り組み、LAに対する日常的な指導や支援活動を強化しています。
 また、LAの専門性を向上させるために、知識・技能レベルに応じた研修に加えて、FP(ファイナンシャル・プランナー)などの資格取得を奨励しています。

総合農協としての力を発揮するために

◆人と人とのハートがつながらなくては

 ――単位農協段階では、組合員・利用者の営農面・生活面・信用面そして共済面など多面的なニーズに応える総合形態で事業を進めていますが、そのなかでの課題は、事業における専門性と他事業との連携だと思います。共済事業でいえば、LAはプロとして組合員を側面からサポートしていくと同時に、営農や生活担当者も共済の役割を理解して協力しないとうまくいかないと思いますね。
 野村 すべての職員が協力し合って組合員をサポートしないといけませんね。総合農協ですから、営農や経済事業をやっている職員も含めて、すべての職員の対応が良くなければ、貯金も集まりませんし、共済の契約もとれません。
 しかし、これからは否応なしに部門別に決算をしなければいけません。そうすると経済事業も含めて各事業が収支均衡をはかっていく努力はしなければいけない。これをしなければいつまでも規制改革会議などから批判され続けることになってしまいます。
 ――今は部門別損益の開示が義務づけられていますから、そこを徹底していくことは大事ですね。それと同時に、事業間の横の連携ももっと強化しなければいけないですね。
 野村 私はいつもいうのですが、農協経営がキチンとするためには、各事業が収支均衡をはかり、それぞれの事業がしっかりと成り立っているというような経営体制にしていかなければいけないと思いますね。
 それから、最近は農協の職員が農家の子弟ではなくなってきています。だから、本当の意味で農業を知らない職員がたくさんいます。
 その職員たちが、共済事業や信用事業を勧めるために農家を訪問して、農業を教えてもらっていることもあります。キュウリやトマトをどうやって作るのか、農家に教えてくださいといえば、教えてくれるわけです。そのことで、人と人のつながりができるのです。そういう職員になって欲しいと思いますね。人と人との世の中ですから、損得だけではなく、ハートがつながらないとうまくいかないと思いますね。
 ――愛知県では資材物流の広域化が進んでいるのですか。
 野村 肥料とかの配達は、1農協ではなく3〜4つの農協が1ヶ所の配送拠点から行っています。それからハウスなどで使う石油の注文は、生産者がハウスから携帯電話で直接経済連に注文し、伝票だけが農協に回るようになるなど、経済事業改革に一所懸命に取り組んでいます。
 しかし、今までの流れで、農家組合員がつくった農産物の販売手数料を抑えてきた経過があります。一方で、生活用品は必要な人が買いに来るということで応分の収益をみています。つまり、購買事業で収益をあげ、販売事業の手数料を抑えてきたわけです。
 これからは担い手が育成されて、集団や法人になると、農協とその他を天秤にかけて安い方から仕入れるということになります。一方、農作物は自分で販売する人もいるでしょうが、「自分で販売したのでは勝負になりませんから共同出荷します」となったら、販売と購買のバランスを考えていかなければなりません。そうしないと農協は成り立たなくなると思いますね。

着々と進む
事業実施体制の再構築

◆引受センター新設で機能強化と効率化

 
――平成12年に県共済連と全共連が一斉統合し、新生JA共済連がスタートしましたが、事業体制の整備は具体的にどのように進んでいますか。
 野村 12年の統合を受けて、「組合員・利用者満足度の向上と事業量・契約者数の維持・拡大を目的に、事業実施体制の再構築に取り組んできています。
 主な取り組みとしては、従来は各県域で行っていた生命・建物・自動車・自賠責共済の引受審査機能を川崎と大阪の東西2拠点に集約した引受センターを新設し、機能の強化と効率化を進めています。今年の2月から移行を始め、今後、段階的に業務を移行し、9月には全都道府県の引受審査機能がこの2つのセンターに移行します。
 この引受センターでは、県本部引受審査業務を担当していた職員と全国本部職員で業務を行い、引受サービスを専門化・均質化してより質の高いサービスを提供していきたいと考えています。
 また、自動車共済の事故処理業務では、農協と連合会の機能分担を見直し、契約者への対応力の強化と専門性の向上をはかっています。具体的にいいますと、農協が車物事案や事故受付、初期対応などを担当します。一方、連合会は人身案件を担当して、契約者対応力を強化し、より高度なサービスを提供していくということです。
 ――県本部と全国本部間の異動状況はどうですか。
 野村 今年は、県から全国本部の引受センターへの異動がありますから、かなりの規模になるのではないでしょうか。職員の異動についてはこれからも積極的に進めていきます。

人を裏切らない“真心”こそが信頼の源

 ――最後に、農協とJA共済の持続的な発展を展望して、「組合員そして役職員の絆の強化と仲間づくり」により活きいきした地域づくりを行うために、今もっとも力を注がなければいけない課題はなんだとお考えですか。
 野村 私は、時代のニーズに合った商品の開発は欠かせないと思います。それを前提としたうえで、基本はLAが組合員や地域の方々の家庭を訪問して契約をしてくるわけですから、JA共済は他の共済・保険と比較して、絶対に負けないという商品をつくることです。そして、それを供給する人間は、絶対に負けないという自信をもっていなければならない。しかし、個々の商品の一部をみれば負けているものもありますが、全てを話しなさいと私はいっています。そのことで、信頼と絆をつくっていかなければならないと思います。
 そのときに、組合員や地域の方々が、農協をどこまで信頼しているかが試されるわけです。だから信頼されるキチンとした経営基盤をもった農協になることです。いつ潰れるか分からないところを信頼しろといってもムリですからね。これが基本ではないですか。
 ――経営基盤をしっかりと固めて、LAが思い切って自信をもてる商品を提供していくということですね。
 野村 私は「『今日は幸せを売りにきたよ』というぐらいのことをいって入っていけ」というんですよ。そういうからには、その人や家庭にとって本当に必要なことを提案することが重要です。
 ――「しあわせ夢くらぶ」へ登録してもらうことも、大事ですね。
 野村 農協は一定のエリアが決まっていますから、他のエリアに推進に行くわけにはいきません。だから、エリア内の人たちには、すべての分野で利用してもらいたいわけですから、このシステムは有効だと思います。しかし、契約のある世帯で「ひと・いえ・くるま」の3分野すべてを利用している人は、全体の2割程度ですから、まだまだ開拓すべき市場が足元にあると思いますね。
 ――万一に備えることの大切さを分かってもらうということですね。野村会長は常日頃から「要は只誠意にあり」といわれているそうですが、その真意は今日のお話しで大変よく分かりました。まさに「真心」ということですね。
 野村 そこが大事なんです。人を騙したり、人の裏をかくようなことをしてはいけないということです。誠心誠意対応すれば、何とかなるものですよ。会長になるとややこしい話もありますが、私はあまりややこしく考えないことにしています。起きてしまったことを誰が悪いとかいってみても解決しませんからね。要は人を裏切ってはいけないということです。
 ――今日大変にお忙しいなかありがとうございました。

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インタビューを終えて
 野村会長のインタビューを通じて印象に残った点は、長年にわたって単位農協の職員として共済事業活動を中心に業務を担当され、さらに単位農協の組合長、県連役員を務められて、昨年から現職の重責を担われているが、JA共済事業活動に自信をもって新地平を開拓したいという意気込みを感じた。
 特に評価したい第1点は、野村会長自身の体験も踏まえ、JA共済の基盤をなすJA自体が農業のみでなく、農村を守り発展させる砦としての大きな社会的な使命を果たすために、一方で部門別損益のバランスも含め「JA経営の持続的安定」に今まで以上に努力しなければならないこと、他方で専門的能力を高めJA共済の取組みに自信と情熱を燃やすLAづくりと全役職員の共済の理解力を内発的に引き上げる職場風土を強化すること、他業態とは異なる有利性と課題も含め組合員・利用者への説明力を高めることが、JA共済の将来を左右する両輪あるいは要石として重視されている点である。
 第2に、野村会長は、JA共済の担当者は震災、雪害、人的事故などの場合にが被災地ににいち早く向かい組合員・利用者の立場に立って熱心に査定・保障活動に取り組み、他業態にみられかちな厳しい対応との差を痛感した自治体の首長からJA共済に『震災による復旧活動に大きく貢献したとして感謝状を送りたい』と申し出があったと語られた。このようなJA共済の優位性をさらに高めるための、全国的なJAネットワーク力の発揮と福祉活動など社会的貢献活動の強化の意気込みも評価したい。最後に、野村会長には、他業態と異なり、協同組合ならではの共済事業のロマンと専門性を発揮するJA共済連役職員集団による職場風土づくりにご尽力されることを期待したい。(白石)

(2006.5.18)



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